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紅茶の技術。#1

こんにちは。

今日は、紅茶の技術について書いていきたいと思います。

話を始める前にお伝えしておきたいのですが、業界の全ての人々をリスペクトしているという前提で、わざと語弊がある言い方をしますので、ご了承ください。

一瞬、紅茶業界もコーヒー業界も敵に回します。笑

26~27年ほど前には、紅茶ブームの時代がありました。
カフェブームが始まる前ですね。

当時は私も、一般向けの「紅茶教室」に引っ張りだこで、日本全国飛び回っていました。

帯広の「紅茶専門店 ダージリン」をプロデュースしたのもその頃ですね。

日本中に「紅茶専門店」があった時代です。

私は、神奈川の横浜生まれ横浜育ちですので、特に紅茶専門店や珈琲専門店が多く、子供のころから個人経営の喫茶店に触れていました。

珈琲日記の紅茶メニューも横浜の独特なバリエーションが多く、技術的にも独特で、当時の英国紅茶のお店などからすると、よく「邪道」と言われたものです。

私が紅茶を勉強し始めたのは35年前ですが、今まで紅茶に関わり、輸入し、現場で抽出して、お客様にご提供してきた中で、常にスタッフや学校の生徒たちに伝えてきたことは、

「紅茶は技術より、豊富な知識が必要」ということ。

逆に、「コーヒーは、知識より技術が必要」だと思っています。

こう極端なことを言ってしまうと、かなり語弊があるのですが、コーヒーはコーヒーに対して深い知識がなくても、コーヒーに対する情熱とテクニックで割とカバーできてしまうということです。

それくらい、再現性を求めてコーヒーの技術を習得することが、難しくもあり楽しくもあるということでもあります。

例えば、「ラテアート」に魅力を感じてバリスタを目指した人は少なくないはずです。
しかし、コーヒーがなんたるかを勉強しなくても、ラテアートのコントラストをきれいにする方法、ミルクのスチーミング、ミルクの注ぎ方を徹底的に練習すれば、チャンピオンになれます。

実際にそういうバリスタをたくさん知っています。
まぁ、うちのヨメもそうです。笑

コーヒーの知識が、びっくりするくらい無い!良い意味で。(?)
いや、無かったと言うべきか。。
それでも、めちゃくちゃ美味しいエスプレッソやカフェラテを作ります。
動物的なので、、いや動物だな。

エスプレッソを抽出しながら急に、私にはよくわからないことを言い出して、、、でも美味しい。
よくよく順序だてて聞いてみて、分析すると結局言ってることが正しい。びっくりしっぱなしなんですよ。

いいんですよ。マニアックになりすぎて、お客さんを見ていないよりは、ちゃんとお客さんを見ている人だから。

でも、半端ではない回数の練習をこなしているので、それぞれ自分の中にちゃんとした理論が出来上がっていて、実際の理論と照らし合わせても、間違いのないものになっていることがほとんどです。

練習量がとにかくすごいということは、細かな知識がなくとも身をもって理論が出来上がるということ。

まぁ、後にも先にも練習でコーヒー飲みすぎて急性カフェイン中毒で担ぎ込まれたのは、うちのヨメくらいですよ。

でも、そこに正確な理論と知識が加わったら、もう鬼に金棒です。

そういった意味で、大会で上位を目指したいという強い気持ちは大切なのだと認識しています。

私は焙煎から興味を持ってコーヒーの勉強をし始めたので、理論的でマニアックです。笑

ですから、抽出も理論です。もちろん、エスプレッソも、ラテアートも理論です。
どういう豆で、どのくらいの焙煎度合いで、どうしたら糖質とタンパク質で構成されたクレマがきれいに、ブレイクせずにアートができあがるか。

クレマに、コーヒーから出るガスは関係ないことなど、ラテアートに魅せられた人にとっては、しばらくはどうでも良いことで、とても美しいラテアートを描けるようにまで技術がちゃんと仕上がります。

もちろん、原料の良し悪しはプロダクトの仕上がりに大きく影響しますが、焙煎も抽出も、なぜ技術にのめり込んでいくのか。
それは、コーヒーの味づくりの工程が、個人に委ねられているからだと思います。

それに比べ、紅茶葉は産地ですべての加工が終わり、セレクションの技術が最も重要で、選ばれた茶葉を仕入れてあとは「熱湯を注いで3分待つ」だけ。

カップヌードルと一緒じゃん!ってなる。

また、言い切ってしまったので、これも語弊があります。。はい。。すみません。

そんな感じに見えてしまうのが紅茶です。

コーヒーに真剣に取り組み始めた人が、紅茶に興味を持つわけがありませんよね。

そんなもんだから、今は紅茶の美味しいお店が少なくなり、店で飲んでも家で飲んでも同じようなイメージになってしまっています。

その店でしか飲めないと言われるような紅茶がどれだけ少ないことか。

もちろん、実際には『熱湯注いで3分待つだけ』では本当に美味しい紅茶はできません。

茶葉によっても温度や時間は変わり、仕上げるメニューによっても変わります。茶葉の量も湯量も。

牛乳だけではチャイは抽出できませんし、スパイスは作る度に叩き潰さないと香りが出ません。

紅茶を美味しく淹れるには、歴史を知る必要もあります。
歴史を知ることで、抽出が変わります。
新しいメニューのレシピ開発が格段に楽になります。

これは結局、コーヒーにもお菓子にも通ずる話です。

それはまた、次の機会に。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

では、また。



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