【小説】種を超えた絆と死闘(1385文字)
この前、種を超えた絆を見た。それはとある山の公園に行った時のことだった。
「ふんふふーん♪」
自分はいつも通りにルンルン気分で山にある公園のところで散歩していた。
「アーーーーー!」
「え、なんだ!?」
おっさんが絶叫しているような声がどこかから聞こえてくる。
もしかしたら何か事件でもあったのかもしれないと思った。
自分は走っておっさんの叫び声みたいな のが聞こえる方へ行ってみた。
すると、そこには鹿がフェンスに頭を突っ込んで動けなくなっていたのだ。
どうやらこの鹿がおっさんみたいな叫び声を上げていたらしい。
「おーい、これは一体どうすっかな。こういうのって人間が助けていいのか? でも放っておくのもなぁ…。え、なんだ!?」
自分はあることに気づいた。そのフェンスに突っ込んで動けなくなっていた鹿の前方を見ると何者かがいたのだ。
「おーい、野良犬じゃねぇか!?」
何と野良犬が動けなくなっている鹿を前方から押しているではないか。
ワンワンという鳴き声が聞こえる。
なぜ野良犬は吠えるのだ…。お、あれはなんだ!?
上空にはハゲタカが飛んでいた。どうやらハゲタカはフェンスに引っ掛かっている鹿を狙っているようだ。
そしてこの野良犬が鹿を守っていたらしい。
野良犬とハゲタカの争いが繰り広げられていたのだった。
「ガルルル! わんわん!」
「キーーー!」
「アッーーーーー!」
「おいおい、これはすげーな!? こんな事って普通あり得るのか!? だって野良犬が鹿を守ってるんだぜ!?」
とにかく自分は何も干渉せずにただ見守るだけにした。
野良犬とハゲタカは激しい争いを繰り広げていた。
ハゲタカが鹿を突こうとすると、野良犬がジャンプをしてハゲタカに噛みつこうとしていた。
そして、ガルルルル!という唸り声を野良犬は鳴らしている。
「アッーーーーー! アッーーーーー!」
そして相変わらず鹿はおっさんの断末魔みたいな声を上げていた。
「おいおい、これ動画に収めるしかねぇだろ! こんなん絶対 SNS でバズるって!」
自分はスマホを持って動画を撮り始めたのだった。
相変わらず野良犬とハゲタカは激しい争いを繰り広げていた。
野良犬とハゲタカ、双方どちらも傷ついているといった感じだ。
飛んでいるハゲタカは羽を散らし、野良犬も毛が禿げてきた。
「これはあれだな。ハゲタカはハゲたか? なんつって! ギャハハハ!」
そんなこと言っている時だった。野良犬はこちらの存在に気付いてめちゃくちゃ吠えている。
どうやらそんなことを言ってないで手を貸してくれという感じだ。
ハゲタカはこのチャンスを見逃さなかった。
野良犬がよそ見をしている時に野良犬はハゲタカの鋭い爪に攻撃された。
野良犬はそのままぐったりと倒れてしまった。
「おいおい、これはどうなっちゃったんだ!? このままだとフェンスに突っ込んだままの鹿が危険だぞ!?」
でも自分はただ見守るしかない。これも自然の摂理だ。
ハゲタカも命がけで勝負をしたんだからどちらか一方に加担するっていうのはフェアじゃない。
そして自分ではフェンスに突っ込んでる鹿が絶命するまでの一部始終を見たのであった。
「こ、これが弱肉強食の世界か…」
「キーーー!」
ハゲタカは食料にありつくことが出来てそのままどっかへ旅立っていった。
野良犬も勝負に負けてその場で倒れたままだった。
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