[小説]1000歳の仙人の若さの秘訣とは…(1156文字)
「若さの秘訣はな、自分自身を0歳だと思い込むことが大事なんじゃ」
「は、はぁ…」
「まあこれはワシだけが0歳だと思い込んでるだけじゃ。他の人は5歳でも6歳でも18歳でも20歳でも何でもいいぞ」
この方は実年齢1000歳のまさに仙人と呼ばれるお方だ。やはり若くいる秘訣は自分を若い年齢と思い込むことらしいのだ。
「じゃあ今からワシが実際に0歳児だと思い込んでやってみるから、よく目に焼きつけておくんじゃぞ」
「はい」
そうすると1000歳の仙人は急に地面に横たわってしまった。
「ばぶばぶばぶばぶー! キャキャ!」
「えええ…」
そして0歳児に幼児退行してしまったのだった。
「マンマ!マンマ! ケケケケケ!」
「な、なるほど…」
これを見ていた人(自分含む)はちょっとだけ引いてしまうのだった。でもこれぐらいしないと若さを保てないということなのかもしれない。
そしてみんなで自分自身を5歳児ぐらいだと思い込んで幼児退行をしてみることにした。
「お前も恥ずかしがってないでちゃんと子供の頃に戻ってみるんじゃ! それがワシが長生きしている秘訣じゃぞ」
「まんまーまんまーww ケケケケカ!」
「最初は恥ずかしいという思いがあったんじゃがな、やっていくうちに段々と慣れていったぞ」
そして本当に自分自身が0歳児だと思い込むようになっていたのだった。
「まんま、僕ちゃん一人じゃ何もできないでちゅー」
「うむ、お主なかなかキモいのー。ワシの方が1000倍可愛い」
「………」
「まあなんだ、とりあえずワシの話を聞いてくれ」
仙人は色々と話してくれた。仙人はよく夜のお店に行ってこんなことをやっているらしいのだ。
全くどこまでも若くて元気な仙人だなぁという感じだ。
「やっぱり気持ちが衰えてくると身体もそれに連れて衰えてくるものなんじゃ。だからせめて気持ちだけは若く保っているのが大事じゃぞ」
「ば、ばぶぅ(は、はい)」
「いつになっても子供心は忘れてはならない。 それを忘れてしまえば、あとは衰えていくだけなのじゃ。ワシは1000年ずっと長生きをしているが人生めちゃくちゃ楽しいぞい」
「は、はぁ…」
「お主、普通に戻っておるぞ!」
「ば、ばぶぅ…」
「やっぱりワシは赤ちゃんに戻っている時が一番楽しいのう。さて、わしはまた赤ちゃんに戻りにちょっと野暮用があるのでな、今日はこれくらいにしておくぞい」
仙人はそう言い残すと夜の街へと消えていったのだった。今から赤ちゃんプレイをしに行くということらしい。
仙人曰く、自分が若い年齢だと思い込むことこそ若くいられる最大の秘訣だというのだ。
仙人は1000歳になっても色んな街を歩いている。そして旅先で出来るだけ長く若くいられる秘訣の教えを説いているという。
もしかしたら、あなたの街にも仙人がやってくるかもしれません。