【小説】死体のあった痕跡を消す危険な仕事(2474文字)
自分はとある高校に通っている。自分は部活に入りたくなかったのだが、学校のルールで部活を入るのが強制されていたので、仕方なく部活を選ばざるを得なかった。
「あーあ、めんどくせ! ケッ!」
自分は貼り出されている部活のボードを見に行ってみた。
なるべく楽な部活に入ろうと思っている。そんな時、ある紙に目が引かれた。
「給料が出ます!」というキャッチコピーが書いてあったのだ。
そういえば、この学校はバイトが禁止だったなということを思い出した。
遊びたい盛りの高校生にとって、収入源がないのは厳しいので自分はこの部活に入ってみようかなと思った。
しかし、部活動の詳細の分からない部活だったので、まずは体験入部してみることにした。
とりあえず貼り紙に書いてあった電話番号にかけろと書いてあったので電話をかけてみることにした。
プルプルプルプル!
この電話をかける時って、地味に緊張するんだよなぁ…なんてどうでもいいことを自分は考えていた。
プルプルプルプル!ガチャ…
「はいもしもし」
声の低い男の人が電話に出てきた。自分はそれだけでものすごくビビってしまった。
「ああの、部活ボートの紙を見て部活の体験入部をしたくて電話をしました」
自分はタジタジしながら喋った。
「あーそう、じゃあ今から指定されたところに来てくれるかな?」
一体どこに向かえというのだろうか?
「分かりました」
そのあと相手に来て欲しいという場所を指定されて、自分はとりあえず電話で言われたところへ行ってみることにした。
そこはとある街中だった。
とりあえず来てみたもの誰が部活の人か分からない。
自分は周りをキョロキョロと見渡した。
「お前がうちの部活に体験入部したいってやつか。」
「え…」
低い男の声がしたので、自分は後ろを振り返ってみた。
「ぎゃあー!」
黒いスーツを来たイカツイ人が何人も立っていた。
自分はその人達がとても高校生とは思えなかった。
「お前かと聞いてんだ! さっさと答えろ!」
大声で怒鳴られた。この黒いスーツの人達、正直めちゃめちゃ怖い。
「は、はい!自分です!」
額から汗が流れ出てくる。
「だったら、早く答えろよ。こっちは忙しいんだよ」
黒いスーツの人は不機嫌そうだった。自分はこんな人達の部活でやっていけるのだろうか。
「すいません。」
自分は完全に萎縮してしまっていた。
「まあいい、うちの部活を簡単に説明してやる。」
「はい」
とうとう部活の内容を知ることになった。
「うちの部活は掃除をする部活だ。それだけだ」
「え、それだけなんですか!?」
意外と簡単そうな部活で自分は安心した。
「ああ、それだけだ。さっそく付いてこい」
そう言われたので自分は黒いスーツの人達の後を付いていくことにした。
数分歩いた。
「じゃあ早速これを掃除してもらおうか」
「え、はい…」
連れてかれて、言われた掃除をする場所を見てみると何やら赤いペンキで汚れたような部分があった。
「まあここらを適当に洗い流して掃除しておけ」
そう言うと他にもてきとうに掃除の道具を渡されたので、自分はそのまま黙って掃除をした。
それにしても何の掃除なんだろうか? それにこの赤いペンキも何だか血に見えなくもない。
プルプルプル!
「あ、もしもし? 今こっちは忙しい! ちっ、分かった。すぐに向かう」
そのあと黒服の人達はどこかへ行く。自分はひたすら掃除を続ける。
そして数十分が経過した。
「あ、掃除終わったか?」
黒いスーツの人がすぐにまた来た。
「は、はい」
「そうか、じゃあすぐに俺の後に付いてきてくれ」
そう言われてまた自分は黒いスーツの人の後を付いていく。
数分歩いてまた掃除場所に着いた。
「今度はこれをやっといてくれ」
また赤いペンキをこぼしたような汚れだった。
「あのこれってなんな…」
自分は赤いペンキが何なのかを聞こうとしていた時だった。
すぐ近くで黒いスーツの人達が数人でブルーシートで包んだ何かを運んでいた。
よく見てみるとブルーシートから何か人の足のようなものがはみ出ていたのを確認してしまった。
「ひえっ…!」
「お前、もしかしてあれ見ちゃった?」
黒いスーツの人にそう聞かれた。
「は、はい…」
自分は正直に答えた。もう間違いない。この部活は死体を片付けた後にその場に残った痕跡を洗浄する部活だ。
「そうか、絶対に内緒な」
「……………」
黒服はなぜかニヤッと笑う。自分の頭の中はパニック状態だった。
どうすればいいのだろうと。
「とりあえず、さっさと汚れを掃除してくんねぇかな」
「あ、すいません!」
自分は血の痕を掃除をした。この後もこんな感じで血の痕を掃除させられた。
自分はこんな部活もうやっていられないと思った。
そして数時間が経つ。
「今日の部活はこれで終わりだ。お疲れな」
「は、はい…」
部活が終わって黒いスーツの人がそう言った。
黒服はポケットからたばこを取り出してライターに火をつけて吸い始める。
本当にこの人達は高校生なのだろうか?
「すいません、もうこの部活やめます」
自分はもう耐えられなくなり部活をやめることを切り出した。
「あ? お前それ本気か?」
「は、はい…。すみません! それじゃ!」
自分は逃げるように走り出した。
「おい待てよ。止まれよ!!!」
黒服に引き止められた。空気が凍りついて時が止まったかのように感じられた。
「は、はい…」
自分は振り向いた。
「ふぅ…忘れ物だぜ。もってけよ」
自分は黒服から封筒を渡された。封筒の中身を見てみるとお札が何枚も入っていた。
「え…!?」
「お前はまだ体験入部の段階だ。だからやめるもやめないもお前の自由だ。ただ、もしまだ続ける気があるっていうなら、明日また俺の携帯に電話をしろ。以上だ」
こうして今日のところの体験入部は終わった。
次の日に学校に行って部活のボードを見てみると昨日の部活の貼り紙は貼られていなかった。
ただし、自分の携帯の電話履歴には黒服の電話番号がある。
意外と給料も良かったこともあり、自分は昨日の黒服に電話をかけてみようか悩んでいた。