私達は何も共有していない
インドの染織工場で少年が呟いた 僕は一人の少年で こうして水を流している その向こうの屠殺工場で豚が鳴く 最後の悲鳴は明日に聴こえようか その傍で群生する麻が水稲栽培を笑いながら 次なる種子を道端に落としたところ バイクタクシーの姉ちゃんが車輪で多くを轢き潰した 残された幾十の子孫は世代とアスファルトを超えてアイルランドへ辿り着き 類い稀なる繁殖力で氷河をも自地とした 麓では百年に一度の祝祭が執り行われ 主賓は今朝に生まれたシャーマンの一人子 彼女はこの地に五十年生きた後に大