Lo-Fi HipHopが流行らなかった世界線の話
Youtubeを徘徊していてLo-fi Hip Hopの文字を見ないことはほぼないくらい浸透してますよね。いや個人差っすね。
ニート東京のShing02の登場、Nujabes10周忌のスクランブル交差点のジャック。なんかまた加速してきたような印象も若干受けます。
さて、ローファイヒップホップの誕生で僕が納得しちゃったのは、NujabesとJ DillaをゴッドファーザーとするJazzyなHipHopという音楽的系譜から、Vaporwaveの日本のアニメ、アーティストの匿名性、インターネットを主戦場とする、という機能的系譜の交差地点に誕生した物とする有名な記事の説です。
その他に黎明期のものとして見かけたものは①Wu-Tang Clan②Madrib,③DJ Shadow④90年代初頭のMemphisラップシーン等でした。
①は確かにカンフー映画からのサンプリングはアジアのカルチャ―へのヒップホップからのアプローチとして共通点がありますね。(Enter the Wu-Tang 36Chambers 1993年)
②③からそれぞれ1曲選択してみましたがもう今のLoFiHip Hopと非常に近いです
(上から2000年、1996年の作品)
④はMemphis RapはもともとLofiの機材を使って発展していったという背景のシーンらしいですが、あまり音楽的な共通点は感じ取れませんでした。ただ中にはかなり今の形に近い曲をやっている人もいました
(1995年の作品)
こういった音楽を背景にChilled CowのStudy Beatsがアニメの画像を組み合わせることで大バズじゃ!なLofi hiphopですがその人気の背景はパッと調べるだけでもやはりノスタルジーをかきたてる、ゆったりして心地よい、自分も作ってみようと思える敷居の低さ(アーティストの匿名性を含む)、などの要素が表に出てくるように思います。このような要素はVaporwaveのそれを相当程度含みます(心地よさはど真ん中のVaporwaveにはないかも)。むしろ匿名性は自らの存在を強烈に発信する、己の事をRapする、ヒップホップのアティチュードからは対局の所に位置するものとすら言える気がします。
そしてその割には歴史をたどると上記のようにHipHopの歴史にしかぶち当たりません。Vaporwaveとの交差はsamurai champlooやジブリをはじめとするアニメが浸透しているなかChilled CowやChillhopが2017年突然現れたと言うイメージです。上記のヒップホップを身近に感じてきた世代が90年後半から20年弱の時を経てノスタルジーの1要素として取り込んで来たのかなと考えてみています。
ここまで考えると音楽的にはHipHopのサブジャンルとして台頭して来たLOFI hiphopは実はその内実は機能的、態度的にはVaporwaveに近い性質を主軸とするものだと言えそうです。とすれば誤解を恐れずに言えばHipHopはChilled Cowによってフックアップされたノスタルジーの1つの側面に過ぎず、別の音楽であってもバズり得たジャンルなのではないでしょうか。言いたいことは、「別の音楽」がアニメ画と組み合わさっていても流行る条件は満たしていたのでは無いか。という事です。
このように考えたのには動機があって、冒頭のツイート主harukanakamuraを自分は2013年頃よく聞いていたんですが、こういったエレクトロ二カ(当時タワレコでそこに並べられていたのでそう呼んでいます)に当時抱いていた感情がLofi HipHopを聞くときの感情に非常に近いなとふと思い出したからです。エレクトロ二カ周辺を見回すとやはりアーティストの匿名性、幻想的な音、内に内に深堀していくような姿勢等がキーワードとして見られますが、Vaporwaveのアイデアを共通項としてLofiHipHopと近い要素がみられるなと思います。もちろんHarukanakamuraとNujabesは接点があるし、既に同ジャンルを取り入れているLofiHipHopもたくさんあると思いますが、いまだドラムを必須の要素とするHipHopが先行してるという印象です。(ずっと聞いてるとドラムうるさ!ってたまになる)
そこで、「これエレクトロ二カが流行っていた世界線もあったんじゃない?」というある日の1秒をクソ長文にしてみた次第です。
どうですか。違和感ないですよね。
追伸 なんだかジャケも近い雰囲気がありますよね。全部イケてます。
*同動画は筆者の判断で著作権法上の「引用」に当たると判断して作成しました。状況次第で削除します。StudybeatsにHarukanakamuraのArneという曲を乗せたものです
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