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「泥の檻・改 シーン02・式霧子の部屋」
ChatGPTによる原稿を、半分ほど手直し。ストーリーに矛盾ありありなので、後半は全面リライト。
この作品、記録を確認すると、2005年2月に私が絶望のどん底で書き始めた作品のようです。通りで暗いストーリー。っていうかもう20年経つのですねえ。構想20年!(笑 いやそのうち19年は放置してたのですが(笑笑
前話はこちら。
「泥の檻・改 シーン02・式霧子の部屋」
しのぶは、マコトの部屋を後にして、その妹 霧子の部屋の扉をそっと開けた。きい、という軽い音がしたが、時間が止まっているため誰に気付かれることもない。
ドアの隙間から、ベッドに横たわる霧子の寝顔が見える。部屋の装飾から、霧子の天真爛漫な性格が見て取れる。鍵をかけずに寝ている事から、無防備でまだまだ幼い性格なのだろうとも推測できる。無防備な彼女が、今は完全に無意識の状態だ。ベッドの脇の水色の置き時計の秒針も、停止している。
部屋に踏み入ったしのぶの足音が小さく響いた。しのぶは霧子の寝顔を見下ろし観察した。その表情は平穏そのものだ。しのぶはさらに興味深そうに彼女を見つめ続けた。
「これがマコトの妹か……」
イケメン男子であるマコトと似た、きりっとした顔立ち、しかしまだ幼く、触れたら壊れてしまいそうなおでこや頬や唇。
「なるほど、これは男を狂わせる顔だ。かつての私がそうだったように」
ふと、しのぶはタンスの上の写真立てに目を向ける。マコトと霧子が一緒に写っていた。その写真に触れたしのぶが、興味深そうに言った。
「この娘、どうしてこんなに幸せそうに笑えるのか……」
しのぶは冷徹な表情を少し和らげ、霧子の寝顔に視線を戻した。彼女が目を覚ました瞬間を想像して軽く動揺した。むろん、しのぶが能力を解除しない限りは、止まった時間が動き出すことはない。
「この美しい娘なら生贄に申し分ない。だが……、もっと、こう……」
霧子のあまりに無垢な寝顔が、少しだけしのぶを不快にさせた。なぜだ、なぜこんな気持ちに、と再びしのぶは困惑する。私は、美しいものを破壊することに快感を覚える、魔性となったはずだ。なぜそれを躊躇するのだ。私はどうしたというのだ。
きり、と唇を噛んで霧子を見下ろし続けるしのぶの背後で、闇が集結して人の顔を作った。オリウスだ。彼は言った。
「しのぶよ、あわてる必要はない。月に1度の儀式というのは、俺の要求ではなくお前の決めたルールだ。俺はもうしばらくはお腹いっぱいだよ。それよりこの二人、もっと美しさに磨きをかけた上で、絶望させ収穫した方が、おいしくはないだろうか。特にこの娘は、250年に一度の逸材だ。なあ、そう思うだろう?」
そうか、そういうことか、としのぶは納得した。こんな無垢なままで、こんな幼いままで、生贄として捧げるのはもったいないと、私は思っていたのだ。もっと成長させ、もっと美しく輝かせてから祭壇で処するべきなのだ。
しのぶにとって、最上に美しいものを破壊することは最高の快感であり至高の喜びなのだ。
その瞬間を想像し、あまりの期待にしのぶはぶるっと、闇の中で軽く全身を震わせた。
「そうだなオリウス。その通りだ。悪いがそうさせてもらう。今日は儀式は無しだ」
しのぶは一瞬不気味な笑みを浮かべ、そしてまた冷徹な顔に戻って霧子から視線を外し、振り返ってドアに向かった。残されたオリウスの首もまた、霧子を見下ろしながらにやりと笑った後、闇に溶けて消えた。
しのぶがパタリとドアを閉めると、止まっていた置き時計の針が、コチコチと動き出した。
(続く)
次話はこちら。