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50「MとRの物語(Aルート)」第三章 12節 脳内会議(2)

今日の朝書いておいた記事をコピペしようとして、間違えて消去……。
あははははは!! あはははははは!!
気をとりなおして書き直し。前よりよくなった気が。
いえええい!! やったぜー!

(目次はこちら)


「MとRの物語(Aルート)」第三章 12節 脳内会議(2)

 Rは、女神とMのやり取りを、黙って聞いていたが、やがてどうしても気になることが浮かび、ずっとそれを質問したくてしょうがなかった。Mが女神との共闘を宣言し、すこし落ち着いた所で、Rはその質問をしてみた。

 Mさん、女神さん、その龍って放置しておくと、どうなるの?

Mと女神は、顔を見合わせた。女神がクスっと笑った。

 そうね。放置でもいいかもしれない。
 ただね、あの龍が近々、暴れ出すことは、もう私にはわかってるの。
 私だけじゃない。あの世にいる人達すべてが、
 これから未来の日本に起こる「記憶」を、共有している。
 ここ10年ほどの間に、日本に起こったさまざまな災厄を、
 Rちゃんも知ってるわよね? あれがただの序章だとしたら?
 もしあの龍が本格的に目覚めたら、
 アジアのほとんどの国が死滅する。
 私の知ってるのは、そこまで。
 それ以上の未来は怖くて見れなかった。

 未来……。
 それって絶対に起こるの? 防げないの?

 いいえ、防げないこともないわ。未来は変えられる。
 特にRちゃん、あなたが仲間になってくれれば、きっと!

 やめろ! Rには危険なことはさせない。絶対にだ!

Mがあわてて女神を制止する。Rは少しほっとした。Mがここまで言うからには、きっとMには何か策があるのだろうと、Rは思った。その推測に勇気づけられ、Rはついでに、ちょっとした無茶振りを女神に持ちかけてみた。

 じゃあ、女神さん。
 私が仲間になれば、図書室の女の子を成仏させてくれる?

 喜んで!!

 お、おい!!

女神はあっさりとOKした。Mは慌てているようだが、Rにはわかった。たぶんMも、Rの提案に全くの反対というわけではなさそうだ。Rの切ったカードは、正しかったのだ。

 MとRちゃんがいれば、心強いわ。
 今日の会議は、この辺にしておきましょう。
 私は一度あの世に戻って、阿頼耶識のビジョンを、
 もう一度見直してきます。
 未来の地球の姿もね……。

 ここからでも見れるんじゃないのか?

 出来るけど疲れるし、あの世のみんなも心配してるからね。
 一度戻って、報告してきます。
 図書室の霊も、私があの世に連れて帰ってあげた方が、
 あの娘の苦痛が少ないからね。

 なるほど。

近いうちにまた連絡するから、それまでは小説に集中して、すごい作品を書いてねと言って、女神は去った。Rにとってその瞬間は、ぽかぽかしていた身体が一瞬にして冷めたような感じだった。Rは女神との会話を思い出しながら言った。

 思ったよりいい人だね、女神さん。

 いや、アイツは本気になると結構えげつない。
 まだまだ疑ってかかった方がいい。
 それよりR。夕方、言った気がするけど、
 「時間には限界がある」んだ。
 今日はいろんなことが起き過ぎた。
 ゆっくり休むといい。

 うん……。
 あ、私の身体の異変というのは?

 それもまた今度だな。ゆっくりと吸収し、ゆっくり考えればいい。

 うん。わかった、そうするよ。
 おやすみMさん。

 おやすみ、R。

 Mは思う。無理せずゆっくり。それが日本に古来より伝わるわびさびを生むのである。それは神を喜ばせ、空間を清涼にする。それがひいては、日本に巣くう魔を鎮静化させ、日本に平穏をもたらしてくれるかもしれない。Rはその時、目をつむってMの遭遇したという巨大な龍を空想しようとしていたが、うまくいかず少し飽きはじめていた。急速に眠りに落ちながらRは思う。私なんかがもしチカラになれるなら、Mさんと女神さんのチカラになってあげようと。その頃女神はRの学校の図書室で、泣きじゃくる霊を抱きしめ心の底から謝っていた。図書室は、女神の放つオーラで七色に染まっていた。女神も泣いていた。強烈な負の力を持つカードをどうにか利用できないかなどという打算を女神は今は恥じていた。「いきましょう」。そう女神は言って、霊をオーラで覆った。「はい……」。霊が頷くのを見届けて、女神はゆっくりと、慎重に、相転移した。少女の霊は女神に抱かれながら、涙を拭いて微笑み、女神の身体にしっかりと抱きついた。少女霊の、暗く寒く辛く長い長い旅は、今ようやく終わったのだ。

<つづく>

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