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長編文学小説・MとRの物語

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Mというのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。
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2017年10月の記事一覧

40「MとRの物語(Aルート)」第三章 3節 カードバトル

「楽しい小説」とはなんだ。 それがもし、「お手軽に快楽を与えてくれるドラッグ」なのだとすれば、 私はそれを、断固として否定する。 (目次はこちら)  放課後、Rが約束の場所へ向かうと、例の男子はすでにそこで待っていた。 「お待たせ、早いね」 「うん、それだけが俺の取り柄だからね」 確かに、彼は足は速そうだ。もし危険がせまったら、この男子の足が、武器になるかもしれない、と考えてRはそんな自分の考えを否定した。駄目だ。この人をそこまで巻き込めない。少女の霊は、私とMさんだ

41「MとRの物語(Aルート)」第三章 4節 バトル開始

これのどこが純文学なんだよ、と思いながらも、 「純文学」タグを付け続ける私。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 4節 バトル開始 校門の近くまで自転車を押して歩いたRは、 そこで足をとめ、冷たい校舎に視線をやった。 その中央、3階建ての校舎の2階に、図書室はあるはずだった。  大丈夫、きっと今日は、何も起こらないよ。  うん、そうだな、確率的に言えば、たぶんそうなるだろう。 Rは図書室の窓に、視線をやった。 期待半分、不安半分。だが何かしらの破

42「MとRの物語(Aルート)」第三章 5節 アヅマカガミとアマテラス

やってみなくちゃわからない。 それがNHKの「大科学実験」と、サイコライティング。 結果、予想外の所でアイツが出現。さてさて、どうなるやら? (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 5節 アヅマカガミとアマテラス Rは振り返った。 その瞬間Mには、ゆらゆらと左右に身体を揺すりながら、 こちらに近づいてくる、白いワンピースを着た、女性の霊が見えた。 その顔はホラー映画のゾンビのように、不吉でおぞましい。  R、見えるか? そこにいるぞ!  どこ? 見えな

43「MとRの物語(Aルート)」第三章 6節 女神との駆け引き

第三章のタイトルは、「暁の寺、天人五衰」 「天人五衰」とは、あまくだった天使が、この世にいる間に、 五つの形で、衰えていくということ(適当な説明。 では第三章における、天使とは誰なのか。 それはともかく……、あれ? 結局カードバトルになってるwww (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 6節 女神との駆け引き メガネっ子は、暗くなり始め、街灯のさびしく灯った広い神社で、自転車を停めた。  なるほど……、ここならオーラもすぐに復活しそうだな。  まあ、フ

44「MとRの物語(Aルート)」第三章 7節 地獄門

書き上げて一回ボツにしたものを、少し手直しして採用。 いいものに仕上がった、気がします。 悔しいけど、やっぱり推敲って大事なんだなー、と再認識。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 7節 地獄門 女神はメガネを光らせ、ニヤリと笑った。彼女が選んだカードは「レッドカード」。それは時を停止させる、チート技だ。このフィールドにおいて女神はいわば「ゲームマスター」。ルールなんていくらでも書き換えることが出来るのだ。「レッドカード」も、今作ったばかりの新カードだ

45「MとRの物語(Aルート)」第三章 8節 メガネっ子解放

メガネっ子と書いたり女神と書いたり神と書いたり。 不統一なせいで、分かり辛かったらすみません。 またまた、あらぬ方向へ向かい始める第三章。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 8節 メガネっ子解放 「どうでもいいが……」、Mが言った。 「その女の子の身体は、お前自身のものか? それとも借り物なのか?」 メガネっ子、の身体を持った女神が答えた。 「もちろん借り物。あなた達の様子を観察していたら、  この子がRちゃんの後を、ずっと付けていたものだから、

46「MとRの物語(Aルート)」第三章 9節 ソファーとAKBとポテトチップス

女神よ女神、なぜ食べる。 ポテチとケーキが、おいしいのか。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 9節 ソファーとAKBとポテトチップス ぜえ、ぜえ、と、自転車を漕ぐRの息が切れ始めた。  Rちゃん、もういいわ、自転車を停めて。  うん……。  さて、これから私達3人での、脳内会議ね。  いや、まだRは家に帰らないといけないし、その後、家事もある。  会議をやるなら、その後だ。  そう? わかったわ。 女神はあっさりと引き下がった。  じゃ

47「MとRの物語(Aルート)」第三章 10節 女神の後悔と不安

序盤から仕込まれていた伏線が、次々と発動する。 ちょっと伏線多すぎた? いえいえ、まだ大丈夫。 でもさらに、「MとR」には、新たな伏線の用意がある。贅沢な悩みだ。 ひとまず少しでも伏線を回収し、本題(小説執筆の描写)へと進まなければ。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 10節 女神の後悔と不安  Rは、母親の帰宅にあわせて炊飯器のタイマーをセットした後、麻婆豆腐の準備を始めた。餃子も買ってきたが、それは母が帰宅後に、ごま油で炒めなおす予定だ。  M

48「MとRの物語(Aルート)」第三章 11節 麻婆豆腐と餃子

今回はちょっと記述を省いた部分があります。 どこかと言うと、「Mはなぜ、重要人物なのか」についての説明です。 それは私がこの「M&R」という小説で、 「M」をモチーフに選んだ、理由でもあります。 有料版ではちゃんと説明する、かも? お楽しみにーー(汗 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 11節 麻婆豆腐と餃子 「R。たまにはMさんも、食事にお誘いした方がいいかな?」 母親は言った。 「ううん、たぶん大丈夫だよ。Mさんいつもコーヒーしか飲まないし」 「

49「MとRの物語(Aルート)」第三章 12節 脳内会議(1)

うわーー、こわーーい! アイデアとしてはあったんだけど、あまり使い道のなさそうだった伏線が、 突如その狂暴な口を大きく開けた! おい、どうするんだよこれ……。 と、悩み中。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 12節 脳内会議(1)  布団に横になり、目を閉じるR。Mと女神は、無言でRを待っていた。今Rの心の中では、二人がソファーに座り、テレビを見ていたが、自分の心の中を覗き見ることが出来ないRには、その姿は見ることは出来ない。  Mさん? 終わった

50「MとRの物語(Aルート)」第三章 12節 脳内会議(2)

今日の朝書いておいた記事をコピペしようとして、間違えて消去……。 あははははは!! あはははははは!! 気をとりなおして書き直し。前よりよくなった気が。 いえええい!! やったぜー! (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 12節 脳内会議(2)  Rは、女神とMのやり取りを、黙って聞いていたが、やがてどうしても気になることが浮かび、ずっとそれを質問したくてしょうがなかった。Mが女神との共闘を宣言し、すこし落ち着いた所で、Rはその質問をしてみた。  Mさ

51「MとRの物語(Aルート)」第三章 13節 暁と夕焼け

ひさしぶりの、MとRによる小説を読むシーン。 夕焼けの描写については、少し深読みしすぎてるでしょうか。 Rちゃんがもし本当に現代にいるなら、Mさんに質問してみて欲しい。 (目次はこちら) 次の日、Rは学校の下駄箱の前で、メガネっ子を見かけて挨拶した。 「おはよう」 「あ、Rさん、おはよう」 彼女の表情に、特に変わりはない。昨日女神に身体を支配されていたことは、たぶん覚えてないんだろうとRは思った。女神はちゃんと、メガネっ子の記憶を消していた。Rは心の中でMに言う。

52「MとRの物語(Aルート)」第三章 14節 起承転結の後にくるもの

芸術とは、滅びの美学。 だとしたら、小説という形式もまた、滅ぶ運命なのか。 そうは思いたくないのだけれど。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 14節 起承転結の後にくるもの  昼休み。手作りのサンドイッチを食べた後、Rは図書室に向かった。文芸部の男子が、ぶすっとした表情でRを見ている。 「おいR、言ったろ? その席は危険だって」 「大丈夫。女の子の霊はもうあの世にいったから」 「え?」 男子はきょとんとしている。Rは構わず、窓際の席に座り、P