『彼女と彼氏の明るい未来』感想
今がすごく幸せで、想像もつかなかったくらい温かい場所を手に入れたときに、真っ黒で思い出したくない過去を捨てようと思ってしまうのってそんなに悪いことなんだろうか
『彼女と彼氏の明るい未来』2巻が出た。無事に完結した。2巻だけだったけど、すごくよかった。なんというか、登場人物に誠実だった。あらすじはこんな感じ↓
主人公は冴えない学校教師、一郎。自分の人生の限界を知っていて、ほどほどに卑屈に生きている。そんな男に顔が最高に可愛くて、性格も良くて、(料理はちょっぴり下手だけれど)甘え上手な彼女、ゆきかができる。しかしある日、居酒屋で隣合わせた知らない男にゆきかの写真を見られたことがきっかけで、過去に疑いを持つようになる。
これはね、完全に好みがわかれると思う。刺さらない人はまじで「何被害者ぶってんの???」となるし、刺さる人はたぶん泣いてもう一度読む。そういう漫画でした。元カレ/元カノと二度と会いたくない別れ方をしてしまうタイプの人におすすめです!!
以下、ネタバレあります
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まあ、結果としてゆきかは乱交経験有りで一郎が思ってるような「天真爛漫で清楚で素直でまっすぐな女の子」では無いのよね。家庭環境に問題ありで初体験だって自分が「ゴミ箱みたい」って思っちゃうようなクソみたいなもので、ヤリマンで暗くてメンヘラ。たぶん、ここで「被害者ぶってる」と思う人も一定数いる。
でも、全部全部ゆきかが悪かったからそうなったわけじゃないんだよね。親も、友達だと思っていた男も、食いものにしてくる大人も、周りの同級生も、みんなみんなひどかった。ゆきかを大事にしてくれる人なんて一人もいなくて、でもそれが当たり前だったんだよね。自分が置かれている環境がひどいものだったって自覚できるのってそこから抜け出した時だけ。実際にそこを抜けだしたのだって誰かが助けてくれたわけじゃなくて少しずつ、慎重に自分で舵を切っていった結果だし。「あ、ひどかったな、私」って気づいてから出会った、自分を天使かなんかだと思ってうざいくらい大事にしてくれる一郎と付き合ったのは、本当に良かったと全部読んで思う。そして一度別れたのもよかった。。
全てを知って一度別れた時、ゆきかへの変な幻想・信仰心みたいなものが消えてただアホみたいに「やっぱゆきかちゃん可愛い、すき」ってなるのが一郎のほんっっといいところ。自分の理想と違くても、一人の女の人として見られるんだ!!最高!!となった。普通のように見えて、これがなかなかできない人もいるから。。最後ゆきかのことをからかって「ゆきぽえむ」って呼ぶの正に「対等なカップル」って感じでいい。。。。
あと個人的に好きだったところ2点 読めばわかる↓
・ゆきかがアジフライ食べながら「いっくん?ちょーーーーキモっ」って言い放つところ。あえて普段使わないような言葉遣いしたいとき、あるよね。。自分の中のギャルにすべて吹っ飛ばしてもらいたい時とか。。。
・「髪の毛はサラサラで黒髪ロング 化粧はナチュラル 香水はつけないけど柔軟剤のいい香り 服はシンプルで清潔感 露出しすぎないけどボディラインがわかる」からの「つまんねー女」
絵が可愛くて女の子がちょっとえっちでごはんが美味しそうなのでそこも推せます!!!