男も女も、大人だってジャンプが好き
女の子だってジャンプが好き。
私が初めてジャンプを読んだのはいつか、定かでないです。
少なくとも小学3年生の時にはりぼんを卒業して、ジャンプに移行していました。
その当時「女の子がジャンプを読んでる」とニュースで特集されていて、子供ながらに「そりゃそうだろ、おもしろいもん」と思った記憶があります。
今でこそ当たり前ですが、昔はジャンプは男の子が読む物だったんですね。
女の子だってジャンプが好き。おもしろいものに男も女もない。
同級生の女友達にも少年漫画を読んでる子が多く、漫画の貸し借りで仲良くなることも少なくありませんでした。
ちょっとしたゲームをして、負けたらジャンプの音読(ちょっとえっちなシーンや、派手な戦闘シーンなど)という遊びが流行ったくらい、少年漫画は当たり前にそばにありました。
子供の頃、母がよくスーパーの買い物に私を誘いました。正直、面倒くさい。年頃になると親と並んで歩くのは照れ臭い。
・・・しかし、近所のスーパーには雑誌コーナーがあるのです。
ジャンプ読みたさにつけ込まれ、まんまと一緒に買い物に行く羽目になりました。無念。
母からすれは、ちょうどいい荷物持ち兼話し相手だったのでしょう。移動の車中で父の愚痴やPTAの噂など延々聞かされました。
私は店に着くなり雑誌コーナーに最短ルートで到着し、レジを終えた母が迎えに来るまでジャンプを捲ります。先客がいて、ジャンプがそれ一冊きりの時はハズレです。でも近くをウロついて圧をかけるようなことはしません。仲間ですから。邪魔はしません。尊重します。
果たして、高校生までこのパターンは続きます。
この途中で母といろんな話をしました。二人きりで、とっておきの内緒話を交換する場でもありました。私たち親子の会話はジャンプと共にあったのです。
今はジャンプもビニールがかかっていることが増えました。立ち読みする人の姿もあまり見かけません。
コロナ禍の前から、一人で買い物しているお母さんが多いなと感じていました。
密かに、立ち読みできる本が減った所為ではないかと思っています。お母さんが子供を誘き出す口実がないのでは?
それとも少子化晩婚化で、みなさんシングルの方なのでしょうか。
大人だってジャンプが好き。
さてさて、皆さん、最後にジャンプの立ち読みをしたのはいつですか?
私は大学生まで。何食わぬ顔で店の床に足を踏ん張って読み耽りました。周りの客に気づかれないよう涙を堪えたことも何度もあります。
しかし、就職してからは少々人目をはばかるようになりました。
「給料もらってるんだから、これからはジャンプは買って読もう。立ち読みしたい少年たちの為に私が金を払ってやらねば」
立ち読みされるばかりではジャンプも困ります。買って読む人がいるから書店にジャンプが並び、立ち読みが成り立つのです。
ジャンプは “買って読む人“ と “立って読む人“ の協力があってこそ。新進気鋭の漫画家や敏腕編集者だけがジャンプの担い手ではないのです。
とはいえ、お気に入りの漫画が次々完結したことや日々の忙しさに紛れジャンプを“買って読む“こともなくなり、コミックス派に転向しました。
しかし驚くことに、20代半ばのことです。小学生の頃から買い続けてる漫画の新刊が出たのに気づかず半年も過ぎていました。慌てて買って読みましたが、子供時代なら考えられないことです。労働は人を変えます。
こうして、ジャンプっ子だった私も年齢を重ねるにつれ疎遠になっていきました。
しかし、ある出会いをきっかけにジャンプ熱が再燃します。
31歳をして週刊少年ジャンプ定期購読のボタンをポチッとすることになるのです。
それが先月完結したDr.STONEでした。未読の方、ぜひ読んでみて下さい。新しいのにちゃんとジャンプっぽい、すごい漫画です。これについては書き出すとキリがないので別の機会にまとめたいと思います。とにかく読んで欲しいです、アニメもあります。
話を戻して10年ぶりのジャンプとの再会です、嬉しかったですね。
何より電子版という新しさにドキドキしました。アプリで読める無料連載や読み切りも充実していて、これが令和の漫画の読み方か・・・! と、震えました。
電子版ジャンプのよいところは発売日に必ず読めること!
今でも月曜日にジャンプが届かない地域ってありますかね? 私は長らくそういった地域に住んでたので、配信は人を平等にするなぁと感激しました。月曜日は早起きしてジャンプを読み、それから出勤するルーティーンが出来上がりました。
早く読むことがそんなに大事? と思われるかもしれませんが、これはネタバレ対策でもあります。
人気の漫画ほど、ネット上にネタバレや考察が溢れます。断片的な情報をイタズラに掴まされた状態でコミックスを読むと感動が薄れてしまうので困ります。検索よけも限界がありますし。せっかくの新キャラ登場シーンやフラグ回収も「あ、この前ネットで見たやつ」となってはもったいない!
警告なしのネタバレは刑法で取り締まって欲しいくらいで・・・。流石にそれは厳しいので、自分のできることをしよう、もうジャンプ買おう! となった次第です。
電子本は正しい、紙の本は嬉しい。
液晶画面のジャンプの虜になっていた私ですが、ある時、表紙、巻頭カラー目当てに紙のジャンプを買うことにしました。
ここ数年、漫画、本を買うときはKindle一択。久しぶりに本屋さんのレジに並びます。
すごくドキドキしました。何しろ、いい年してジャンプを買うこと自体恥ずかしい。どんな顔してレジに通せばいいのか。ソワソワしました。
なんとか無事にレジを終えると、助手席にジャンプを乗せて家に帰ります。
ページを捲って読みます。懐かしいインクと紙の匂い。
読み終わり、キャラの顔が大きく描かれた表紙を上にしてジャンプを置きます。
・・・う、嬉しい!
ドキドキが止まりませんでした。
アドレナリンがドバドバ流れて、耳から出てくるかと思うくらいです。電子版では感じられなかった感覚でした。
ジャンプのずっしりした重さ、汚れる指。
特に、読み終わった後もジャンプがそこにあるのが見えること。
電子版だとアプリを閉じれば見えなくなってしまいます。次に呼び出すときまでジャンプは私の目に触れることはありません。
“自分のもの感“は圧倒的に紙のジャンプが優っていました。
それに比例して満足感も大きく膨れ上がるようでした。もしかすると、同じ漫画でも紙で読んだ方が面白く感じるのかもしれないと思ってしまいました。誰か調査して下さい。
けれど、紙のジャンプはいづれ資源ゴミになります。
場所もとります。埃も積もります。
コストもかかるし、環境のことを考えれば電子版が推奨されるのは何となく理解できます。
エコでミニマルなのが流行り。私もサステナブルは良いことだと思っています。
それを疑いたくなるような、充実したお買い物でした。ジャンプは今、290円です。
電子本は正しい。でも、紙の本は嬉しい。としみじみ痛感する機会となりました。
とはいえ、目当ての漫画が完結したので定期購読を解除したばかりの私です。たまには本屋さんに足を運んで紙の本を見る機会を増やしたいと思います。
本の虫は大人になっても本の虫なんですね。
自分の性分に従って無駄な買い物をするのもいいかもしれません。
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