海底の部屋
たまに心が暗闇に閉じこもるんだ。
進んで入ってきたのか
気づいたらそこにいたのかわからない
まるで海底の部屋
暗すぎて目が慣れることはなく
何も見えずに
自分の存在すら見えない。
不安が
怒りが
込み上げてくる
自分に対して。
その怒りは外から来たものなのに
自分から出された怒りだと思い込んで
向かう先は自分しかいない
そういう部屋なんだ。
そうじゃないよ!
悪くないよ!
何もしてないじゃん!
あなたはその人に何もしてないじゃん!
そんな声は全く届かない
海底の部屋
音はしない。
自分の心の声しかしない。
この部屋に入るとなぜか
自分の心なのに敵なんだ
自分の敵は
自分なんだ
出口がわからなくて
出る方法は
一つしかない。そう心が言うんだ。
「お前を排除しろ」
わかったよ。
涙がつたう顔を上げて
深呼吸して
覚悟を決めるその時
今じゃない
ふとよぎるんだよ。
自分に優しくしてくれた人が。
その人がこの部屋から
無理矢理連れ出そうとするんだよ。
ごめんね。幸せになれなくて。
また泣けてくる。
覚悟はできてるはずなのに
涙が止められない。
本当にそうしたいのか
最後にしっかり目を開けて
本当にここは暗闇か確認してみたんだ
お前の存在意味なんてないんだ!って言う心に
意味なんているのか?と言う心。
お前は弱い!
弱くて何が悪い。
お前は弱くて醜く迷惑だ!
そうかもしれない。
でも、そんな自分でも人に優しくできる
だから
人に怒りをぶつけられないんだよ!
お前は私から産まれた私だ。
自分にぶつけるしかなかったんだ。
他の人を傷つけることは考えられなかったんだよ。
出よう!ここはもう飽きたよ!
それが人魚みたいに海底から引き摺り出して
海面のキラキラに向かって飛び出したんだ。
どれだけキラキラしていると思ったんだ?
そこには誰もいない。
ただ、波があるだけ。
自分がいてもいなくても
変わらない世界に妙に安心した。
なんだ
ふたつの心は覚悟を決めた。
誰も私を傷つけることはできない。
だって私は海底の部屋を知っている。
あそこには
これからもたまにいく
だって、傷つけようとしてくる人は
いなくならないことを理解した
強くならなくていい
私の強さは優しさで出来てるから
これでいい
さて どっちに泳ごう。
波に任せるか。
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