あなたは動物の言葉が聞こえますか?
私は犬や猫とも暮らしていないし、散歩中に犬とすれ違ってもその気持ちを
感じることもないのですが…
でも、はっきり聞こえた気がしたことが一度だけあったのです。
それは、朝のシンガポール動物園でのこと。ここは日本に向かう深夜便に合わせてナイトサファリで行く人が多いようです。
でも、私は友達と散歩気分で、午前中に訪れました。
そこでは朝のショーが行われていました。「ティファニーで朝食を」ならぬ、
「オラウータンと朝食を」です。
ショーに参加すると、最後はオラウータンと記念写真が撮れます。
私たちはツアーには参加せず、遠巻きにその様子を眺めることに
しました。
ふと、オラウータンの顔を見ると、悟りきった哲学者のように深みが
あります。それに比べ、オラウータンと写真を撮ってもらえると喜んで
いる観光客の気楽さとはしゃぎっぷりは対照的でした。
その時、オラウータンと一瞬目が合いました。すると、このような言葉が
聞こえたような気がしました。
「仕事だから、仕方がない。でも、これにはもう飽き飽きしている」と。
オラウータンといえば、赤ちゃんはとても可愛らしいです。
柔らかそうな?(実際は硬いに違いない)薄茶色の体毛と
上目遣いのくるっとした愛らしい目。
そのような幼少期から、どういう経験を経てこのような悟りきった顔に
なったのか、想像がかきたてられました。【森の住人】といわれても、森林伐採等による影響を受け、食料を得るのは大変だったでしょう。安住の地となった
この動物園にたどり着くまで、どんな経験や思いをしたことでしょう。
檻や柵のないこの動物園での暮らしが少しでも幸せであって欲しいと思いながら、私はその場を離れました。
* * * * *
おまけの絵
私は、オラウータンの赤ちゃんが大好きですが、実際に見たことは
ありません。この機会にと、写真を見ながらスケッチをしてみました。
ただスケッチを始めたのが1週間前なので、可愛らしさが表現できません。
まるでどこかの宇宙人のようです。
今、練習でペン立てや砂時計をかいています。そんな段階で動物に
挑戦したのは、やはりあまりに無謀でした。(笑)
スケッチをして気づいたのですが、可愛らしさは目だけではありません。
案外耳の位置が大事なことに気づきました。「可愛らしさ」は、
細部に宿ることがわかったので、それが私にとっての発見です。