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冬の旅 大阪にて

2月4日の雪のちらつく朝、夜に大阪である先生のリサイタルに行くため
家を出た。

今回の曲は、シューベルトの『冬の旅』
オンラインで月に一回歌を習っている先生の5年ぶりのコンサートになる。

11月にお誘いがあったときには、冬場であり、体調のことも
あるので本当は行きたかったけれど、すぐに申し込まなかった。

だが、開催の一週間前になって先生から受講生にLINEが来た。

〜今回のいずみホールは、800席あるが現在、まだ半数に満たない。
この規模のリサイタルはおそらく人生最後だと思う。〜

火曜の夜のコンサートなので、京都在住のまだ仕事をしている
友達に声をかけるわけにもいかない。そこで最近調子が良いので、
1人でもと思って、急遽出かけることにした。

住友生命いずみホールは、大阪城公園の近くにある。そこで向かいの
ホテルを予約した。
一週間前であったが、二部屋だけ空きがあり、運良く泊まれることになった。
なぜ二月の寒い時期にと思ったが、考えてみれば、春節で移動が多い時期と
重なっていた。

新幹線で新大阪駅に着いた後、大阪駅から大阪城公園前まで一気に移動して
大阪城公園内のJO-TERRACE OSAKAで食事をした。

テラス席もあるレストランから見た 大阪城

当初の予定では、有名な梅を見に行くつもりだったが、川沿いの冷たい風が
吹きすさんでいる。遮るものがないところで風を受けるものだから、飛ば
されるような心地がした。そこで早々に諦めて、食事の後、カフェで
コーヒーを飲みゆっくりしたあと、チェックインをした。


いつかは行きたい 大阪城ホール

コンサート19時に始まった。心配していたお客さんの数だが、八割ほど埋まっていて、私は安心した。

さて、シューベルトの『冬の旅』は

恋に破れた若い男性の孤独とさすらいの歌だが、私は学生時代、あまり好きに
なれなかった。全体のトーンが暗く救いがないように思えたからだ。
これも現実なのだろうが、見たくないと言う気持ちが強かったかもしれない。

全部で24曲あるが、その中で有名なのは『菩提樹』であろう。リサイタルでは
12曲歌った後に一旦ポーズが入り、そこで休憩になった。全体のトーンを維持
しながら、後半歌い続けていくのは、心理的にも体力的にも大変なことだと
思った。

全体を通して感じたのは、若いときの印象とは異なり、さすらいながら
とことん絶望感を味わうことによって、彼は次に進むことができるのでは
ないかということだ。

中途半端に失意にふたをしたら、何かの折に、それが浮上してきそうだ。
〜底を打ったら、あとは這い上がるしかない〜

翌日 朝食バイキングの会場で考えさせられることがあった。
国によって風習が異なるが、食べ終わった後のお皿を見て、自分の言動を
顧みることができた。

海外に行き始めた頃、バブルで日本人が大勢旅行に行き、レストランでは、
日本人だけ場所を区切られ、地元の人と離れて食事をすることが多かった。
そんな時、私は少なからず差別を感じたのだが、今考えると、地元の人が
いつものように食事を楽しめる配慮だったのではないだろうか。

特に初めて海外に行った時などは興奮状態にあり、声もついつい大きく
なってしまう。他の国にお邪魔してると言う配慮がないといけない場合もある。

今回、初めて日本を訪れたような人も多く見かけたが、
それはかつての自分の姿かもしれない。自分のことは、よくわからないので、
他の人の言動を『合わせ鏡』として見るしかないと感じた。


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