メットライブビューイング ホフマン物語
2024年秋から始まる新シリーズが上映された。記念すべき一作目は
フランス語のオペラ 「ホフマン物語」
このオペラの中で『舟歌』は有名で、単独で演奏されることも多い。
だが私はストーリーを全く知らず、初めて観るオペラだった。
内容としては、ある詩人が愛した3人の女性との関わりを軸にして
展開される物語。
一人目 機械人形のオランピア
外見に魅了されて愛したが、最後に人形だとわかり絶望的になる。
オランピアの歌 コロラトゥーラ(声を転がすように歌う)の超絶技巧と美しさ
二人目 病弱なアントニア
大好きな歌を歌うことを止められていたが、歌いすぎて命を落としてしまう。
切々と歌うアントニア ホフマンの歌は叙情的でエレガント
三人目 高級娼婦 ジュリエッタ
彼女の言葉と思わせぶりな態度に翻弄され、破滅の道に向かう。
きっかけは、鏡の中の自分の影を彼女にとられたため。
計略にはまり、ジュリエッタへの思いを切々と歌い上げるホフマン
果たして3人は実在の人物なのか。それとも1人の女性の中にある3つの要素
なのか。
ホフマンの高ぶる心、驚きとやるせなさの表現がとても自然で、私はハラハラしながら物語を味わった。お酒に溺れないと、精神の均衡が保てなかったのだろうか。
ホフマンを演じた B・ベルナイムは、パリ5輪の閉会式でも歌った歌手だ。
一番印象的だったのは、機械人形オランピアの歌声だ。人間に、これほど高い音が出るのかとびっくりした。「夜の女王のアリア」をしのぐ高い音を彼女がいとも簡単に、どこか無機質でテクニカルに歌う。
私は、人間の能力は限りないと思った。自分で枠や限界を決めなければ、もっと先まで行けそうだ。
ということは、私の頭脳も声も限りない。まだほとんど使ってないので…(笑)
これからも成長する可能性を持っている「未完の大器」かも⁈しれないのだ。