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#聴いてみた シューベルトの交響曲第1番

NHKFM「音楽の泉」のシューベルトの交響曲第1番 を聞き逃し配信で聴いてみた。

曲目

交響曲 第1番 ニ長調
チューリヒ・トーンハレ管弦楽団(管弦楽) 、 デーヴィッド・ジンマン(指揮)
作曲: シューベルト
(26分20秒)<ソニー/RCA SICC1452>
🖊曲解説へ

弦楽四重奏曲 イ短調「ロザムンデ」から 第2楽章 アンダンテ
ベルチャ弦楽四重奏団(演奏)
作曲: シューベルト
(7分23秒)<ワーナー 5054197211430>
交響曲第1番から11年後の1824年に作曲された弦楽四重奏曲「ロザムンデ」から第2楽章をお送り致します。
シューベルトは1823年の暮れにアンデアウイーン劇場で上演された劇「キプロス島の王女ロザムンデ」の為に10曲ほどの劇付随音楽を書きました。
以前書いた作品からの転用もありました。
劇自体は成功しなかったのですがシューベルトが作曲した序曲、それに第3幕と第4幕の間の間奏曲は好評を博しました。
それで彼はこのロザムンデの間奏曲の調べを弦楽四重奏曲とピアノの即興曲に織り込みました。

歌曲集「美しい水車屋の娘」から どこへ
フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール) 、
クルト・ハインツ・シュトルツェ(ピアノ)
作曲: シューベルト
(2分10秒)<コロムビア COCQ84392>
「美しい水車小屋の娘」から粉引き職人の青年が小川の清流に導かれ新たな修行の旅に出る場面の歌『どこへ』そして水車小屋のお嬢さんにどうして君は顔を背けるの?と歌う『朝の挨拶』歌曲集の第2曲と第8曲です。

歌曲集「美しい水車屋の娘」から 朝のあいさつ
フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール) 、
クルト・ハインツ・シュトルツェ(ピアノ)
作曲: シューベルト
(4分11秒)<コロムビア COCQ84392>

曲解説(奥田佳道先生解説からの抜粋)

🖊今朝はシューベルトの交響曲第1番をお送り致します。ウィーンに生まれウィーンで亡くなったシューベルトが1813年 16才の時に書き上げた交響曲をご一緒致しましょう。
(♪~)第1楽章 アレグロヴィヴァーチェの第1主題が駆け出した所を少しお送り致しました。
フランツ・ペーター・シューベルトは11才の頃からウイーンの宮廷礼拝堂少年合唱隊で歌い 寄宿制の神学校で音楽を学んでいます。
神学校のオーケストラでは主にヴィオラを担当、シューベルトはハイドンやモーツァルトの作品も演奏したことでしょう。
一方、これからお送りする交響曲第1番が完成した1813年と言えば40才代前半のベートーヴェンが活躍していた時代。
シューベルトが寮生活を送っていた神学校のすぐ近くにウィーン大学の講堂がありましたが、1813年の暮れにその講堂ではベートーヴェンの交響曲第7番が公開初演されています。
シューベルトの1番の交響曲とベートーヴェンの7番の交響曲は直接の関連はありませんが、10代のシューベルトは40代のベートーヴェンを仰ぎ見ていました。
さてシューベルト、第1楽章のもう1つの主題も聴いてみましょう。
(♪~)第1楽章の第2主題、今の素敵な調べ、ベートーヴェンを無意識のうちに意識したのかもしれません。
ベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」のフィナーレ、それを基にした交響曲第3番「英雄」の第4楽章、或いはピアノソナタ悲愴との関連は、さてあるのでしょうか。
シューベルトの交響曲第1番第3楽章メヌエットの中ほども少し聴いてみましょう。
(♪~) 第3楽章のメヌエットの中間部、オーストリアの3拍子の田舎舞曲 レントラーのスタイルで書かれていますが、後の時代のワルツに接近しています。
この愛すべき交響曲、ウイーンでいつどのように初演されたのか分かっていませんが、 神学校のオーケストラによって演奏された可能性の他、10代のシューベルトの活動に手を差し伸べたウイーンの音楽家や裕福な商人の邸宅で演奏された可能性が指摘されています。
モーツァルトの葬儀にも参加したオットー・ハトヴィッヒという年配の大音楽家がシューベルトのことを応援していますが、そのハトヴィッヒの邸宅にはプロ級の腕前をもつ30数名の演奏家が集ったことも分かっています。
そのオーケストラにはシューベルトの神学校時代の友人もいました。
しかし、プライヴェートなオーケストラだったこともあり演奏記録が残っていません。
交響曲第1番が音楽史に登場するのはシューベルトが亡くなってからなんと50年以上経った1880年代初めのこと。
ロンドンでドイツ出身の指揮者が演奏、当時のロンドンの新聞が曲を絶賛しています。
一方ウィーンではブラームスが音楽出版者の依頼でシューベルト作品の校訂に携わりました。
交響曲第1番、楽器編成はフルート1、そしてオーボエ・クラリネット・ファゴット・ホルン・トランペット各2、テインパニ、弦楽です。
均整の取れたウイーン古典派の2管編成に準じています。

🖊シューベルトの交響曲第1番を聴いてみて

早熟の天才は今までの歴史の中で何人も存在したと思われるが、シューベルトの場合はやはりそこに流れている『音楽』が本当に素晴らしいと感じる。モーツアルトを聴いてもそう思うのだが、シューベルトの音楽も特に短調に移り変わる調べがもしかするとモーツアルト以上にウエットで人生の悲哀をただひたすらに真摯に訴えかけてくるような感じがするのだ。
交響曲第1番はシューベルト16才の作だが、今も尚、色々なことを教えてくれる曲だなぁと思う。



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