ナナメの夕暮れ
はじめに
読書感想文シリーズ第4弾です。今回は、念願の「芸人エッセイ」を読むことができました。生粋の大阪人の私は、幼いころから、「吉本新喜劇」を見て育ち、「M1グランプリ」を見て年の瀬を感じ、「ガキの使いやあらへんで」を見て年越ししていました。つまるところ私は、正真正銘のお笑い好きなのです。今回は、短編集から3つのエピソードを紹介します。
きっかけ
ミステリー、人情物語、青春物語と読破した次こそは、エッセイを読みたいと思い、書店へと向かいました。そこで、「東大生に聞いた人生が変わった本」と紹介されたこの本に出会いました。正直なところ、東京の芸人のイメージの強いオードリーさんのファンとは言えないですが、「東大生」というワードに地方国公立に通う私の血が騒ぎました(笑)
あらすじ
以下、背表紙の引用です。恥ずかしくてスタバで「グランデ」を頼めない。ゴルフに興じるおっさんはくそだ。世の中を「ナナメ」に見てきた著者にも、40を前にしてついに変化が。体力の衰えを自覚し、没頭できる趣味や気の合う仲間との出会いを経て、いかにして世界を肯定できるようになったのか。「人見知り芸人」の集大成エッセイ。
現実を生きるための
皆さんには、趣味がありますか。私は、たくさんの趣味がありますが、お金はそんなにかかりません。というか、かけていません。音楽はサブスクと月に1回程度のライブハウスで十分だし、スポーツ観戦はテレビやYouTubeで楽しめる。強いて言えば、最近、読書にお金がかかるなと思いだした頃です。リアルに生きることを追求しすぎると、真実に振り回され、何も楽しめなくなります。「身の程」は必要な時にだけ知り、普段は何かに酔って、現実の輪郭を少しだけぼやけさせておくのがいいらしいです。依存することだけは避けたいですがね。
耳に痛い話
しくじり先生の中で、「自分の弱さと向き合うことが難しい」と学んだ。まだ、イメージが付きにくいですよね。皆さんは、自分の欠点を欠かすことなくすべて列挙することができますか?私は、自信がないです(笑)これはきっと、「何かが起こらないと目の前に現れないのが真のしくじり」だからです。ここで、しくじりを回避する一番の方法を教えてもらいました。「耳が痛いことを言ってくれる信頼できる人を持つこと」です。私は、近くにいてくれる家族やパートナーかなと思いました。
ナナメの殺し方
自意識過剰に恥ずかしさを感じることってありますよね。著者は作中で、「誰も見てないが、自分が見ている」と原因を言及しています。納得感がありました。そんな自分を脱却できるのが「肯定ノート」です。自分の好きなことや興味のあるものを書き出し、没頭する時間を作る。そうすることで、他人の好きなことを尊重できるようになり、世界を肯定できるようになるのです。つまり、世界の見え方は、「思い込み」に過ぎないのです。肝心なのは、どう思いこむのか。自分自身の生き辛さを他人に向けるのはよくないのです。
最後に
読み終えた感想として、お笑い芸人の「味の濃さ」を身に染みることができた。23年間関西で育ち、コミュニケーション能力や人を笑顔にする力に自信を持っていたが、改めて芸人のすごさを感じた。これから先、社会人としての人生を歩む中で、できるだけ「味のある人間」に成長したいと思った。