もう少し
先週金曜から今日までの3日間、高校陸上競技インターハイの地区大会が開催された。
息子の応援に訪れた陸上競技場内で、アップ(準備運動)をしている女子高生を見て、
『あ、ユカちゃんだ』
と思ったが、すぐ人違いだと気づく。
ユカちゃんは長男の同級生だった子で、現在20代だ。高校生の大会で走るはずがない。
学生の陸上競技を長く観戦しているからか、単に物忘れがひどくなったからか、こんな間違いは多い。
そこかしこに懐かしい《あの子》がいる。
すぐに『ああ違う子か』と気づくものの、何だかがっかりする。本当の《あの子》当人は、そしてあの頃陸上競技場で一緒に観戦したあの子の親御さんは今頃どうしてるかな?と想いを馳せる。
毎年、競技場で応援しながら翌年のことを考えていた。来年は◯年生だなあと。長男が卒業なら次男、次男が卒業なら3男の事を。今年は3男が高校3年生、もう来年のことは考えない。
本当に終わりなのだなぁとしみじみ。
3男の歳が兄とは離れていたので、幼稚園も小学校も関わる期間が長かった。
子供達が通った小学校には、登下校の安全のための活動として、保護者の旗振り当番というものがあった。横断歩道を渡ろうとする子供の補助をするのだが、旗を一緒に振る係の先生からは、
「いいですねぇ」
とよく褒められた。
そりゃそうだ。何年もやったんだから。
幼稚園、小学校、中学校、高校と、当たり前にひとつずつ終わっていく。
幼かった子供たちは私の身長をあっという間に越して、私が全くできないことを軽々とこなすようになった。
『もう私にできることなんてほぼない。あとはお金の工面のみだな』
なんて感傷に耽った昨夜、3男にこんなものを見せられた。アップシューズという、競技スパイクを履く前に履く靴なのだが。
「知らない間に(穴が)開いてた。でも大丈夫。このまま明日も履く」
と言うが、どうみても保たなそうだ。
急遽針と糸を出した。
出来上がりはこんな感じ。
ってか、こんな場所にこんな穴開けるか?
もう少し大事に扱ってよ。
このシューズもまさか、縫ってまでまだ履かれるとは思ってなかったかもしれない。
でももう少しだけ頑張って。
もう少しだけ。
まだできることがあるみたいだから。
お互いに。
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