「盗まれた」

最悪。僕の頭にそのワードがよぎった。自転車を盗まれたのだ。

 輪っかで繋いでいたのにどうやら、ペンチか何かでぶった斬られたようだ。

 今は夜中の一時。家までは自転車で三十分くらいだ。この距離を徒歩で行くとなるとかなり億劫だが、タクシーに乗るお金もないので歩くことにした。

 見慣れた道を自分の足で歩くのはいつぶりだろう。こうして歩いてみると案外楽しいものだ。

 それはそれとして盗んだ奴は絶対に許さない。

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