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教えること



お点前のことは先生が唯一絶対


まだお点前がおぼつかない初習者の稽古を見ていると、先輩弟子が「それは右手じゃなくて左手」 とか 「そこはこうじゃなくてこの持ち方じゃない?」 など口をはさむような場面はよくある

そんな時先生はぴしゃりと

「あなたいつから先生になったの?
先生を差しおいてお点前に口を出すようなことはしてはいけません
お行儀のよくないことです」

とお叱りになる


まだ右も左もわからない習いたての頃から、
こういったやりとりを横目で見て育ったので
自分がそこそこ稽古歴がかさんできても
人の点前に口を出すようなことは禁忌と肝に銘じている

明らかに間違っていても
それを指摘し指導するのは先生の役割


お稽古をするというのは ただお点前の順序を覚えることではなく 習得すべきことは手の動かし方 姿勢 歩き方など細部に渡る

そしてこの所作の部分はお点前の要


「はじめについてしまった癖はなかなか治らない」と先生もよくおっしゃっている


水屋のことは先輩に倣え

学校の部活動や会社の新人教育、そのほかあらゆる稽古事でも、先輩が後輩を指導するというのは一般的なことだろう

お点前のことに関しては口出し厳禁だが
水屋のことや、先生にお包するお金に関わることなどはまずは先輩弟子に聞くようにしているし
私も新しく入った人に教えるようにしている


最近入門した学生の生徒さんで 学校が忙しく数ヶ月お稽古に来れなかった人がいた

お稽古に来れなくても 来なかった期間の月謝は後日お渡しするものなのだが
それを彼に伝えたおくのをすっかり失念していた

先生から直接言うとなると先生にご負担かけてしまうので こういうことは先輩弟子が後輩に教えておくのがスマート

お茶の世界の決まり事は現代人の感覚からすると驚くことも多いだろうから 先にフォローしておいてあげればよかった・・と小さく反省した

上下関係とか


「お茶では年齢じゃなく、1日でも先に入ったらその人が先輩。」
というのも 先生は繰り返しおっしゃっている


先生は「本来ならこう」というのを教えるために建前上は厳しくおっしゃるものの
実際は弟子を甘やかしすぎなくらいでいたって家庭的な雰囲気だが
家元の稽古では明確な序列やしきたりがあるそうで たまに先生がこぼされる家元稽古エピソードをきくと 体育会さながらでふるえる・・


好きなことなら


ずいぶん横暴な 昔気質な話
教えちゃいかんとか
かと言って裏方仕事はしずしずと引き継ぐとか
先輩絶対とか

私は本来そういうのめちゃくちゃ苦手なたちで
部活動も一度もしたことないくらい 上からの圧の類を忌避してきた

それなのに
先生の社中に入ったら自然と体が動く
上を敬い下を補佐し 先生が黒と言ったら白いものも・・の姿勢で立ち回る

そしてそれがなんのストレスもない

要は強要か自発かの違いなのか。

お茶だけは自分の信念の埒外で
なんだかすべてをのみこめてしまうのだ


好きだから特別・・なのだろうか。

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