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目に虫が入っちゃった日

あるところに、自他共に認める、と〜ってもコミュ力の高い、宝くじ販売員がいました。
名前はタマミーヌ。いつもニコニコしている販売員。だが、彼女の本性は…とても気分屋で、腹黒い女だったのです…

仕事の日のある朝。いつもどーりタマミーヌは自転車をかっ飛ばし、駅の駐輪場に向かっていたところ、右目に虫が飛び込んできたのです。

イタッ!こんなとき、タマミーヌはいつも思うのでした。
「もーーーっ!なんでよ!!なんで?地球は果てしなく広いのに、なんで虫がピンポイントで私の目の中に飛び込んでくるの?痛いじゃ〜ん」

自転車を端に寄せて鏡で確認すると、小さな虫が目玉にくっついていました。
ティッシュで取り除いたけど、目にはゴロゴロした違和感が残り、右目だけ真っ赤になり、涙が出たので、マスカラが落ちて下瞼に付き、片目パンダになってしまいました。

ゔーーーーっ。今から電車乗るのにー!時間ないのにーー!

とりあえず、ウエットティッシュでマスカラを拭き取るもキレイには拭き取れない。薄っすら黒ずんだ下瞼。殴られボクサーみたい。
俯き加減で電車に乗り、仕事場に辿り着くやいなや、トイレに駆け込みました。

腹黒タマミーヌは女子力の低い女でした。
あろうことか、ファンデーションを持ち歩いていないずぼら者。メイク道具は口紅とリップしか持ち歩いていないのです。

左目はパッチリ、右目は下瞼が黒ずんでいる…
仕方ない。パッチリな方のマスカラも落とすしかありません。
目の周りだけ、メイクが消えてしまいました。

なんちゅう顔なんだよ!!ゔーーっ、虫め!
あ、あ、あー!開店準備をする時間がないよ〜!どうしよう。。

なにがなんでも、時間ピッタリに開店させなくてはならないルール。
タマミーヌは焦りまくっていました。

開店と同時に、次々とお客さんがやってきます。
タマミーヌは無力感に襲われると同時に、朝からの出来事を思い出し、なんだか悲しくなってきたのでした。

こんなときは、誰かに優しくしてもらいたい。
あの人に、今朝からの出来事を聞いてもらって、慰めてほしい…
『そっか、大変だったな』って言ってほしい。
あの人は今ごろ、何をしているのかしら…
My Darling… タマミーヌには空想癖がありました。(笑)
今は空想なんてしている場合ではありません。目の前のお客さんをどんどん捌いていく!頑張るしかないのです。

あの男が目の前に現れたのは、タマミーヌがやるせない気持ちのまま仕事に追われ、励んでいるときでした。
モーガン・フリーマンをいじくそ悪くしたようなツラ構えの、どデカい黒人男性。
白のタンクトップ姿。肩にはタトゥーが入っています。

こやつは以前、ロトの申し込みカードを渡してきたから発券するも、間を開けてまた申し込みカードを渡してくる。追加する前に、先に発券した分の支払いをお願いします。と促した途端、タマミーヌに向かって『SHUT  UP!』と怒鳴り出したのです。
映画でしか聞いたことのない本場の『shut up!』にタマミーヌは狼狽えた。言わなければならないことを言おうとするタマミーヌの言葉を、聞かないどころか、遮って、なおも怒鳴り散らし、タマミーヌに言葉を発せさせなかった人物です。
怒り心頭のタマミーヌではあったが、諦めて、その後のやり取りは一切喋らず、目も合わさないで乗り切ったのでした。
この外国人は、他にも多々問題行動をするので、店員達の間では要注意人物となっているのです。

《タマミーヌ心の声》
今日の私はね、か•な•り、機嫌悪いよ〜 あんたの態度次第ではブチ切れる気満々だからね〜だ!
ベーッ!

モーガンが鉛筆を手にしました。
『いらっしゃいませ』は言ったタマミーヌ。モーガンの一挙手一投足から目が離せません。
モーガンが鉛筆の芯をぺろぺろっと数回舐めました。次に、反対側を口に持っていくと歯で木の部分を甘噛みし始めたのです。

タマミーヌはマイクに口を近づけて
『ちょっと?すみません!鉛筆噛まないでもらえます?』と言いました。
モーガンはタマミーヌをチラと一瞥してすぐにまた、鉛筆を噛んだのです!

やったな!こいつ!

タマミーヌはモーガンを見つめながら、勢いよく椅子から立ち上がりました。
ギクっと、モーガンの目が一瞬見開いたのを見逃しませんでした。
タマミーヌは立ったまま腰を屈めて、マイクに口を近づけながらも、目はモーガンを睨みつけ
『ねぇ、ちょっとさぁ、鉛筆噛むのやめてって言ってるでしょ!皆んなが使うものなんですけど!やめてもらえますか?』
今朝、目に虫が入ってからのイライラ、モヤモヤを、ぜーんぶモーガンにブチ撒けるつもりです。

『アンタ、ウルサイ…』
タマミーヌがモーガンの言葉を遮る。
『うるさいじゃなでしょ?なんなの?いつもいつも怒鳴り散らしてさぁ、いいかげんにしてよ!鉛筆舐めないで!って言ってんの!』
タマミーヌの剣幕に足を止める通行人がチラホラ見えましたが、もうそんなことはどうでもいいのです。
前回とは逆で、喋ろうとするモーガンにタマミーヌが言葉をかぶせて喋らせない!
そんなラリーが3回くらい続いたでしょうか。
モーガンはカードを破り、鉛筆をカウンターに叩きつけて帰って行きました。
タマミーヌはヘナヘナと脱力し椅子に座り込んでしまいました。

帰宅時。電車に乗り込むまで、タマミーヌはキョロキョロと周囲を見渡し、警戒しながら歩きました。
電車に乗り込みドアが閉まる。

ふぅっ、、、長い1日であったな。

なぜか、お侍さんのような言葉で締めるタマミーヌなのでした。

おしまい。。。


こんなことを書いちゃう私。ぜーったいに身バレしないように気をつけなくてはいけません。(笑)
こんな発散したいだけの文を読んでくれる方っているかなぁ…?

いらっしゃいましたら、お礼を言わせて下さい。
ありがとうございました。♡♡♡




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