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名字が変わる、変わらない。 ワタシの氏名は変わらない。

 小学校5年か6年の時のこと。
ある日のホームルームで担任の先生が、クラスの男の子のことについて言った。

「A君は、お家の都合で 名字が 〇〇 から △△ に変わることになりました。」

引っ越しはありません、今まで通り仲良くするように 的なことを言っていたと思う。小学校高学年にもなると、こういった状況には親の離婚が関係していることは察しがつく。
表面上では誰も何も言わないし、当の本人も
そのことには触れない。

名字が変わるといえばまず結婚によって、だと思われるが、やれ銀行口座の名義人だの運転免許証やパスポートだの、改姓に伴う厄介な変更手続きが もれなくついてくることとなる。たしかに面倒だけれど、人によっては半ば 嬉しさもあったりするのではなかろうかと推測する。実際 わたしも若かりし頃、ありきたりな自分の名字がいつの日か変わることに憧れていた 一時期があった。

かれこれ20年ほど前だろうか。
イスラム教徒には、名字というものが存在しないということを初めて知った時 わたしは驚いた。田中、鈴木、 スミス、ブラウン、李、朴…… etc.  各国で違いこそあれど名字たるもの、万人にあるものだと勝手に思い込んでいたからだ。この際、アマゾンのジャングルや マサイ族とか、どっかの秘境と呼ばれるようなトコに住んでいる人らがどうなってるかは さておき。

英語で言うなれば
『 ⚪⚪⚪ son  of ⬜⬜⬜ 』
『  ⚪⚪⚪ daughter of  ⬜⬜⬜』
つまり、『⬜⬜⬜ の  息子/娘  の ⚪⚪⚪』であり、⬜⬜⬜ には家長である父親の名が
入る、氏や姓ではない。
Osama bin Laden すなわち『ラディンの息子のオサマ』 である。


わたしは、結婚を機にというか 結婚するにあたりイスラム教徒になった。オットは ボーンムスリムであり、女性はイスラム教徒の男性と結婚する場合は同様にイスラム教徒でなければならないからだ。わたしの両親は共に純粋な日本人で、イスラム教徒ではない。よってわたしのムスリム名には、"我が父の名"は入っていない。
改宗、結婚したとて日本国籍も生まれたときにもらった名前も変わるわけでもなければ
失うわけでもない。イスラム教徒との国際結婚ではそのまんまなのだ。要は、戸籍上の氏名のわたし、イコール ムスリム名を持つわたし、 が同一人物としてイスラム教徒の男性と結婚したということだ。(イスラム式で結婚し、その事実を報告という形で日本側に婚姻届を提出した)

ボーンムスリムは、前述のように
{  ⬛⬛⬛ (曽祖父)の 息子 の 🟫🟫🟫(祖父)の 息子 の }  ⬜⬜⬜(父)の 息子/娘 の⚪⚪⚪、 というふうに 遡って知ることが
できる。
結婚したからといって名前  (⬜⬜⬜部分も⚪⚪⚪部分も) は変わりようがない。生まれたときにつけてもらった名は死ぬまで、だ。
というわけで、結婚によるわたしの戸籍上の姓名は、要するに旧姓と新姓が同じということであり 改宗の時に得たムスリム名も肉体を脱ぐその日まで変わることはない。

実は、過程は全く違うが、わたしの母も旧姓と同じ姓のところに嫁ぎ 名字が変わっていない。笑



イスラム教徒の場合においては、結婚しようが A君のように親の離婚があろうが、名は変わらないのである。ましてや、結婚後たとえ自分自身の離婚案件が発生したとしてもそれもまた言うまでもない。


最後まで読んでくださり
どうもありがとうございました。



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