PB

詩やエッセイなど。

PB

詩やエッセイなど。

最近の記事

ミスターロバートソン

流星ファンタジアの続きです。  Mは突然、交通事故で亡くなってしまった。私はMと行った温泉旅館にまた泊まりに行くことにした。旅館で私はMの夢を見た。Mは夢の中で私に語りかけてきた。 「俺、突然死んじゃったんだけどさ、まだ発表していない詩がいっぱいあるんだよ。お前、代わりに発表してくれないかなあ」  どうやって発表するんだーと思って目が覚めた。  目が覚めたら、机の上に原稿用紙が置いてあった。Mの原稿のようだった。不思議なこともあるものだ。  読んでみた。その中の一つの詩、「

    • 流星ファンタジア

       夜中に地震があった気がした。ゆらゆらとベッドが揺れていた。私はうとうとしていたので、それが夢の中のことなのか、本当の地震なのかわからなかった。  翌朝起きると、テレビのニュースをチェックした。地震のニュースは特にやっていなかった。郵便受けを開けると、友人のMから手紙が届いていた。 「私はもう疲れました。遠くの地へ行きます。さようなら」  と書かれていた。  私はMの行きそうな所を考えた。あの温泉地かもしれない、と以前二人で行った場所のことを考えた。そこにMはいるかもし

      • 雨の中、踊る

         ある夜、サバ缶食べていたら雨が降ってきた。雨の中、踊った。雨は強くなった。踊りも激しくなった。蛙が僕の踊りを見つめていた。そんな気がした。  上昇する心拍数が脳内に響き渡るダンサブルなロックチューンと重なり合っている。   ダンスしようよ 雨の中   ダンスしようよ 月の下  夜の中、踊りが続いていった。羊さんが星の数を数えていた。  踊っているうち、僕は雨粒になった。そして川になり、海と一つになった。僕は今、大きな流れと一つになっている。どこへ行く必要もないし、何を

        • 意味不明なファクス

           暗い部屋に灯る小さなライト。窓の外は静かな夜。星がまたたいて、静かな呼吸をしているようだ。不安に苛まれる僕は、ぼんやりと新聞を読んでいる。誰かに肩を叩かれた気がしたが、振り向いても誰もいない。そういえばあの歌のことを思い出したな。スケートに関する歌だ。誰が作った歌だっけ?  友人からファクスが送られてくる。ふざけた文章だ。時間の無駄だ。腹が立つ。腹が立つのでワインを開けて飲む。チーズをかじりながら飲んでいるうちに夜が更けていく。またファクスが来た。 「元気?ハハハ。僕は元

        ミスターロバートソン

          霧が包む

          あらすじ:旅行でとある島へやってきた男。不思議な霧が世界各地で発生するニュースを目にするが… #創作大賞2024

          霧が包む

          Space Cat

          あらすじ:今日も大学へ向かった猫。いつも通りの一日になるはずが、大学にロケットが墜落していて… #創作大賞2024 #創作漫画部門

          Space Cat

          話す木

          あらすじ:木が話しているのに気付いた少年。老人が木の中に閉じ込められていると知り、助けようとするが… #創作大賞2024 #創作漫画部門

          話す木

          魚とハゲタカとトンボ

           曇り空の下、海辺を走る列車。雷鳴が聞こえてくる。姉からメールが届いた。異国で暮らしている姉、今いる街の様子について書いている。僕は旅の空。そろそろ今日の目的地に着く。  海岸でたくさんの魚が跳ねている。漁師がそれを獲っている。この地方名産の水色の魚。名前は知らない。今日、食べられるだろうか。などと考えていると、突然魚がピタッと動かなくなる。漁師も動かない。まるで時が止まったかのようだ。しばらくするとまた動き出した。この街では時々あることらしい。旅では不思議なことも起きる。

          魚とハゲタカとトンボ

          ぼくの旅

          1.コーヒーを飲んで目が覚めた。深夜起きてしまったときのようだ。暗い深海に届くわずかな光。鯨が横切っていく。あるいは夜を走る電車。窓からぽつんぽつんと見える明かり。どこへ行くかもわからないまま、電車は走り続ける。 2.砂漠に着いた。風がびゅうびゅう吹いている。雲がどんどん流れていく。明日はどこで目を覚ますのだろう。 3.高原のホテルで目を覚ました。朝食を食べにホールへ。皆、どこから来た人々なのだろう。似たような服を着て、似たような話をしている。ぼくだけ部外者のようだ。朝食

          ぼくの旅

          つぶやき

          言葉の森にもたれかかっていたら さざ波のように つぶやきが押し寄せてきた 白い森に光る青い道 峠の茶屋で一休み 呼吸の中の薄い声 きれぎれになって透けている 待ち合わせの交差点 ふと見上げれば飛行船 明日が静かにやってくる どこかで君の声がする #詩

          つぶやき

          ぐおぐおぐお

          僕はなぜモテないんだろう。そうポン太は考えていた。 そうだ、強い男になればいいんだ。 ポン太は筋トレを頑張った。 そして叫んだ。 「俺は強いんだぞ!ぐおぐおぐお!ふごふごぐおーー!!」 女性たちはさらにポン太のことを避けるようになった。 今日もポン太の悲しい叫びが響きわたる。 「ふぐお!ぐるぐるぐお!ぐぐお~~!!!」

          ぐおぐおぐお

          音楽の聴き方について

           気が付けば、中学時代から20年近く、音楽を聴いている。CDで聴くことが多い。CDは買いに行くのだが、レンタルすることも多かった。ところがここ数年で近くのレンタル屋は軒並み閉店、CDをレンタルすることはなくなり、サブスクで音楽を聴くことが増えた。  最初は「レンタルしたCDを、アルバムで聴いているのが良かったのに…」とボヤいていたが、今ではすっかりサブスクに慣れた。CDを探し求めて何軒も店を廻る必要もなくなり、便利といえば便利だ。なんだかんだ、サブスクの世の中を楽しんでいるの

          音楽の聴き方について

          空想

          この世界は大きな猫が見ている夢で、猫が目を覚ますと消えてしまうのではと空想してみる。 他にも空想してみる。 実は自分以外の全員はテレパシーができて、自分だけそのことに気づいていない。 とか、 実は植物はこの世界の支配者で、植物の思考や感情が、天候などを左右している。 とか。 あり得ないようなことを書いている僕のこの考えも、誰かに操られて書いている、とか。

          冬眠

          #詩 青い水槽を泳ぐ金魚を見つめていると ぼくの心の表面が透明になって森の木々に溶けていく 秋になり木々は葉を落とし 白い冬に向け着々と準備を進めている ぼくは長い冬の間 春が来るまでずっと眠り続ける 冬の間 ぼくは夢を見ている 暗く孤独な夢 この星の中 たった一人 どこへも行けない異星人のように 春が来て ぼくは目を覚ます そしてまた 歩き出す 桜咲く丘に向かって

          冬眠

          昨日の天気

          ケーキ色したこの街に 青いゴボウが落ちている 昨日の天気を確かめたくて りんご畑に旅に出る 電車の窓から君を見る 懐かしすぎて涙あふれる そうか ぼくはもう… いや 何でもない ブリキで出来た雲 雲の街 昨日の天気は わからなかった 全部 夢のようで りんご畑に 立ち尽くす

          昨日の天気

          テクスチャーおじさん

          テクスチャーおじさんは旅に出た 海に真珠を捨てに行った ヨーグルトの夢を見ているテクスチャーおじさん 夜の電灯光っていた 砂漠の少年も夢を見ている 白いロバの夢 それを飛行機から見ているテクスチャーおじさん やっぱり只者じゃない 海の模様を見つめていると 昨日見た夢を忘れそうだよ 自分のことさえも忘れそうだ でもそれでいいんだ 森で道に迷って パンを買って 少し歩けば そこは テクスチャーおじさんの歩いた道 #詩

          テクスチャーおじさん