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【リハビリ×ChatGPT】ChatGPTとリハビリとの親和性

“Selection and Concentration”
日本語にすると、『選択と集中』
ぼくにとっては、とあるラーメン屋でスープを飲み干したとき、器の底から浮かび上がってきて知った言葉。
『選択と集中』、それは企業が得意とする事業分野に経営資源を集中させ、競争優位を図る経営戦略のこと。
ピーター・ドラッカーが提唱し、ジャック・ウェルチが実行に移したことで広まったらしい。
そう、すべて物事の要諦は、選択と集中だ。
だって、1日に人間が持っている時間が決まっているのだから・・・、体力にしたってそうだ。
その限られた資源を、どこに、どのように集中させるのか、それを選ぶことが人生、とすら言えるかもしれない。
では、ChatGPTを用いて、どのような業務を任せられるのか、また任せることが適切なのか。
その選択と集中こそが、生成AIの業務活用においては、最も大切なことの1つだろう。
そして、その戦略を立てるためには、まずChatGPTをはじめとした生成AIと業種、職種の親和性を知っておく必要がある。
その知識があってこそ、親和性の高い部分に最大労力を集中させ、親和性の低いとされる部分の新規開拓を狙うといった戦略が起こりうる。
というわけで、今回はChatGPTとリハビリの親和性という観点で話を進めていく。


■ 影響を受けやすい職業, 影響を受けにくい職業

2023年に出版された論文「Gpts are gpts: An early look at the labor market impact potential of large language models」(📕Eloundou, 2023 >>> doi.)は、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)が業務に与える影響について調査し、衝撃的な結論を出した。
その結論は、「労働人口の約80%が、LLMの導入により少なくとも10%の業務に影響を受ける可能性があり、約19%の労働者は少なくとも50%の業務に影響を受ける可能性がある」。ほとんどの人間はLLMとは無関係でいられない、というわけだ。
この中で、特に影響を受けやすい業務の種類として、プログラミング、ライティング、データ処理、情報処理、医療機関の管理業務などがLLMの影響を強く受けるとされた。
一方で判断やカウンセリングなど、人間の監督や共感を必要とする業務は、現在の技術では影響を受けにくい分野と見なされている。
ここから、論文に記載されていたことと、著者の考察から、影響を受けやすい職業、受けにくい職業をまとめてみた。

■ 影響を受けやすい職業
・翻訳者、ライター、数学者、税理士、プログラマー、校正者、データ管理者など
■ 影響を受けにくい職業
・身体的な作業や機械の操作が主な職業(例: 配管工、電気技師)は影響が小さい
・医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの医療職

医療職については、診断補助や処方箋の作成、テキストベースのツール作成の補助などが生成AIによる限定的な補助が見込まれるが、多く部分が直接敵な接触や物理的ケアになるので、また大きな影響を受けにくい分野であると思われる。
つまり全業界を広くみたときには、医療は、比較的、親和性が低い領域と言えるかもしれない。

■ 松尾・岩澤研究室の「生成AIの産業における可能性」レポート

では、日本の医療分野における生成AIの可能性がどう見られているか。
1つのレポートが参考になるので見ていきたい。
東京大学に松尾・岩澤研究室という研究室がある(ホームページ)。
そのミッションは「時代の「先駆者」を育み、送り出す」。
ウェブの研究から始まり、企業が持つ大量のデータ、ディープラーニングと、時代を先駆ける研究に挑んでいる研究室である。
そんな松尾教授が座長を務めた第9回AI戦略会議の資料が公開されている(🌍 参考サイト >>> site.)
この会議において、「生成AIの産業における可能性」が話し合われた。
その中で、医療領域については、以下のように結論されている。

医療領域での生成AI活用はビッグテック含め、さまざまなプレイヤーが注目。日本は医療大国であり活用の可能性は大きい。
医療現場におけるさまざまな活用可能性があるが、そのなかでも、電子カルテのフォーマット変換が、今までにない方法で実現できる可能性がある。大規模言語モデル(LLM)は「データの変換」が得意であり、様々なデータ形式から統一されたアウトプットを出すことが可能。
医療分野におけるLLMの活用は、最重要な項目のひとつであり、分断されたシステムやデータベースをLLMでつなぐことができれば医療に対しての貢献が大きい。また、行政、教育などのシステムにおいても、同様のデータ連携や分析が可能になるのではないか

少なくとも、日本においては医療全般においてChatGPTをはじめとする生成AIの活用可能性は大きく、医療領域は生成AIを活用すべき最重要領域の1つであると考えられているようだ。

■ ChatGPTとリハビリとの親和性(5グレード評価)

リハビリテーション業務を9の領域に細分化し、ChatGPT、Perplexityと相談し、さらに筆者の持ち合わせた知識も動員して、独断と偏見によって親和性を5つのグレードで表現してみた。
以下の図は、各領域で「ChatGPTがリハビリテーションセラピストの業務とどの程度親和性があるか」を5段階で評価したものと、その理由の例である(1=親和性が極めて低い、5=非常に高い親和性)。
また、それぞれの領域において、最近の著書の該当するページを記載してみた、是非本をお手にとって、具体的な活用方法を目にしていただきたい(Amazon)。

※ 画像読影の説明における「研究」は以下note参照

集中の自由は、攻撃側にある。
例えば、戦国の世において、あなたが城を守る場面にいたとしよう。
相手は、どこから攻めてくるかわからない。不安である。
だから、守る側は、自然と兵力を分散させざるを得ない。
だが一方、攻める側はといえば、一閃、相手の急所だけに全兵力を集中させることができる。
まさに、“集中の自由は、攻撃側にある” のだ。
今回、ChatGPTとリハビリの親和性について領域別にみてきた。
これを知った上で、どこに、どのような労力を動員して、生成AIの力を最大限活かすか、あるいは差別化を図るか・・・。
そこには、無限の可能性があろう。
1つ、大事なことは、“攻撃側に回ること” だと思っている。

先んずれば則ち人を制し、後るれば則ち人に制せらる
司馬遼太郎

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