見出し画像

荷重負荷は腱を鍛える

▼ 文献情報 と 抄録和訳

若手およびシニアの生涯スポーツ選手の膝蓋腱において、習慣的な側面からの負荷が構造的、力学的、構成的変化をもたらす

Couppé, Christian, et al. "Habitual side-specific loading leads to structural, mechanical, and compositional changes in the patellar tendon of young and senior lifelong male athletes." Journal of Applied Physiology 131.4 (2021): 1187-1199.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 前提知識:リード足と非リード足
リード足:踏み出す側の下肢で、衝撃力や荷重負荷が大きい
非リード足:踏み出さない側の足
✅ ハイライト
- 本データは、加齢に伴う糖化に影響を与えることなく、生涯にわたる側面特異的荷重により、鉛直四肢の膝蓋腱の構造が大きくなることを示している。
- これらの新しいデータは、生涯にわたる側面特異的な習慣的負荷が、腱の機械的特性を改善するのに役立つと思われる構造変化を誘発することを示唆している。

[背景・目的] 生涯にわたる身体活動が腱の機能に及ぼす影響は、横断的な研究で調査されてきたが、これらは「生存者」バイアスの危険性がある。

[方法] 本研究では、男性の膝蓋腱(PT)の断面積(CSA)、機械的特性、細胞密度(DNA含量)、コラーゲン架橋組成が、生涯にわたる側面からの負荷と関連するかどうかをin vivoで調査した。9人のシニアと6人の若い男性の生涯エリートバドミントン選手とフェンシング選手を対象とした。3テスラMRIで得られたPTのCSAと、超音波検査による両側のPTの力学を評価した。PT生検では、コラーゲン線維の特性、酵素クロスリンク、非酵素的糖化(自家蛍光)、コラーゲン、DNA含有量を生化学的に測定した。

[結果] エリート選手の最大膝伸展筋力には15%以上の左右差があり、慢性的な片側性のスポーツ特有の負荷パターンを反映していた。PTのCSAは、リード側の四肢が非リード側の四肢に比べて大きかった(17%、P = 0.0001)。さらに、腱の硬さが大きく(18%、P = 0.0404)、腱の応力(22%、P = 0.0005)と腱のひずみ(18%、P = 0.0433)もリード側の四肢で低かった。糖化、酵素クロスリンク、コラーゲン、DNA含有量については、左右で影響が見られなかった(50%、P=0.1160)。さらに、腱のフィブリル密度は、リード側の四肢で87±28個/μm2、非リード側の四肢で68±26個/μm2であった(28%、P = 0.0544)。腱線維の直径は、リード側の四肢で86±14nm、非リード側の四肢で94±14nmであった(9%減、P = 0.1076)。

[結論] これらの新しいデータは、男性が生涯にわたって側方から荷重を受けると、膝蓋腱のサイズと剛性が大きくなり、それに伴ってフィブリル密度も大きくなる可能性があるが、コラーゲンの架橋組成は変化しないことを示唆している。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

Wolffの法則というものがある。

「高応力部分では添加が起こり、低応力部分では吸収される」

これは、骨に加わる刺激と骨代謝に関する法則だが、あらゆる組織に適応される法則なのかもしれない
今回は、腱に対する荷重負荷の影響が明らかになった。
一様に腱が強くなるといっても、「膝蓋腱サイズと剛性が大きくなり、それに伴ってフィブリル密度も大きくなる可能性があるが、コラーゲンの架橋組成は変化しない」というように強化される部分が明らかになったことは興味深い。
そして、今回はかなり長期的な習慣により腱が強化されたが、短期的な腱に対する荷重の影響が気になる。
なんにせよ、壊れない範囲で負荷を加えれば、その組織は強化されるということ。
心も、そうだろうか?

✅ Related note ↓

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓

【あり】最後のイラスト

#理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #論文 #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○