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肩甲骨の動きを測定できる電気式ゴニオメーターができた

▼ 文献情報 と 抄録和訳

肩甲骨の動きを3つの解剖学的平面で測定するための臨床評価ツールの信頼性と妥当性

Silverson, Oliver A., et al. "Reliabilitz and Validity of a Clinical Assessment Tool for Measuring Scapular Motion in All 3 Anatomical Planes." Journal of Athletic Training 56.6 (2021): 586-593.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 現在、各解剖学的平面における肩甲骨の動きを客観的に測定できる単一の臨床評価装置は存在しない。新しい電気式ゴニオメーターを開発することで、3つの解剖学的平面すべてにおける肩甲骨の動きを定量化することができる。

[目的] 上肢挙上時の各解剖学的平面における肩甲骨の動きを測定するための電気式ゴニオメータの信頼性と妥当性を検討すること。

[方法] デザイン→横断的研究。被験者またはその他の参加者→一般住民から募集した60名(女性29名,男性31名,年齢=30±14歳,身長=1.73±0.10m,体重=75.32±16.90kg)。介入方法→複数可電気式ゴニオメーターを用いて,安静時の肩甲骨の位置と,上肢を積極的に挙上させたときの全弧運動(エクスカーション)の臨床的な測定値を,数日の間隔をおいて2回記録した。測定値は2人の検査者によって独立して記録された。1回の検査では、14台のカメラを備えた3次元光学式モーションキャプチャーシステムを用いて、肩甲骨の動きを同時に記録した。主な成果指標→複数可信頼性解析では、安静時の肩甲骨の位置と各条件での肩甲骨の動きに関する臨床測定値を調べた。テストセッション間の評価者内信頼性と,同一セッションで記録された評価者間信頼性の両方を,クラス内相関係数(ICC [2,3])を用いて評価した。基準的妥当性は,電気式ゴニオメーターと3次元光学式モーションキャプチャーシステムを用いて記録した。各条件のエクスカーションの平均値を比較することで検討した。妥当性は,平均差と二乗平均平方根誤差を評価することによって評価した。

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[結果] セッション間の評価者内信頼性は中程度から良好であった(ICC [2,3] range = 0.628-0.874)。セッション内の評価者間信頼性は、中程度から優れていた(ICC [2,3] range = 0.545-0.912)。電気式ゴニオメーターと3次元光学式モーションキャプチャーシステムを用いて記録されたトータルエクスカーション値の平均的な差は-7°から4°であり、二乗平均誤差は7°から10°であった。

[結論] 電気式ゴニオメーターは、上肢挙上時の3つの解剖学的平面すべてにおいて、肩甲骨の動きを正確に測定することができた。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

肩甲骨は、運動時に骨のランドマークと皮膚との間でのずり動きが大きく、その運動を捉えることが難しい場所だ。近年、さまざまな方法で肩甲骨の動きを定量化する努力がなされているが、この方法はその中でも臨床応用しやすいと感じた。もう少し精度を上げて普及していただきたい。