ビタミンCの威力:CRPS(複合性局所疼痛症候群)リスク軽減
▼ 文献情報 と 抄録和訳
足と足首の手術後の複合性局所疼痛症候群のビタミンCによる予防:329人の患者を対象とした前向き無作為化研究
Hernigou, Jacques, et al. "Vitamin C prevention of complex regional pain syndrome after foot and ankle surgery: a prospective randomized study of three hundred and twenty nine patients." International Orthopaedics 45.9 (2021): 2453-2459.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[背景・目的] 足や足首の手術後の複合性局所疼痛症候群(CRPS)は、歩行能力に大きな影響を与える。この災害合併症の対症療法は効果が低く、予防的な治療が有益である。ビタミンCは、選択的予定手術におけるCRPSの予防に効率的であると報告されている。しかし、足部および足首の手術においてこの効果を検討した研究者はほとんどいなかった。そこで我々は、外傷および予定された手術の両方において、足部および足首の手術後にこの合併症を予防するためのビタミンCの有効性を評価した。
[方法] 2018年1月から2019年12月にかけて、329名の患者を対象とした。当院で足や足首の手術を受けた患者のCRPSリスクを予防するためのビタミンCの効率性(ビタミンCありのグループとビタミンCなしのグループ)について、前向き無作為化試験を実施した。両群で足・足首の手術後のCRPSの発生率を評価し、CRPSの診断は3相骨シンチグラフィーに関連するブダペスト基準を用いて行った。
[結果] 対象となった329名の患者(女性232名、男性97名)のうち、121名がビタミンC群、208名が対照群(ビタミンCなし)に分類された。ビタミンCはCRPSのリスク低下と統計的に関連していた(OR 0.19、CI 95% 0.05から0.8、p = 0.021)。アルコール依存症とギプス固定はCRPSのリスクを高める要因であった(それぞれp = 0.001、p = 0.034)。
[結論] 足や足首の手術後40日間、1日1gのビタミンCを摂取すると、CRPSのリスクが減少する。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
ビタミンCで思い出すのは、名著『笑いと治癒力(ノーマン・カズンズ)』だ。
彼は、最も自責的で、積極的で、能動的な患者だった。
自分の原因不明の疼痛に対しての治療において、患者である自らの判断で「投薬法に関しては、鎮痛剤、睡眠剤を止めて、ビタミンCを摂取した」のだ。その理由は「ビタミンCが多種多様の病気と闘うのに有用であるという記事を読んだのを思い出した」から。
今回の論文は、改めてノーマン・カズンズの行動が妥当であったことを証明しているかもしれない。
ビタミンCで何よりいいと思うのは、フードファティズムのリスクが少ないことだ。すなわち、水溶性ビタミンであるため、過剰摂取による弊害の可能性が少ない。
私たちのしていることが的外れかどうかを確かめるために、
最初に10グラムのビタミンCを静脈に点滴する以前に赤沈を計り、
四時間後にもう一度繰り返して計った
なんとその結果は、9ポイントも低くなっていた
こんな天にも昇る嬉しさを感じたことは稀だった
ビタミンCが効いているのだ
笑いと治癒力(ノーマンカマンズ)
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