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インターネット利用が困難な人の特徴
▼ 文献情報 と 抄録和訳
高齢者のインターネット利用における健康上の困難;社会的支援ネットワークを通じた生活の質との関連性とその媒介
Ang, Shannon, Emily Lim, and Rahul Malhotra. "Health-related difficulty in internet use among older adults: Correlates and mediation of its association with quality of life through social support networks." The Gerontologist 61.5 (2021): 693-702.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[背景と目的] インターネットの利用はますます必要になってきている。しかし、高齢者は、非健康的な理由(デジタルリテラシーやインターネットへのアクセスができないなど)や健康上の理由(視覚障害や運動障害など)により、インターネットを利用しない場合がある。高齢者のインターネット利用について研究している研究者はいるが、ほとんどの研究者は、インターネットを利用しない理由が健康上の理由かそうでないかを区別していない。そこで、本研究では、高齢者のインターネット利用における健康上の困難さの主要な相関関係と、それが認知された社会的支援ネットワークを通じて生活の質(QoL)にどのような影響を与えるかを検討する。[方法] 研究デザインと方法データは、2016年~2017年に実施されたシンガポールの高齢者を対象とした全国調査(N = 3,966)によるもの。多項ロジスティック回帰と媒介分析を用いて、インターネット利用における健康関連の困難を経験する可能性が高い高齢者のサブグループを特定し、そのような困難が社会的支援ネットワークを通じた高齢者のQoLに影響を与えるかどうかを検討した。
[結果] 男性、マレー系民族、低学歴、日常生活動作制限のある高齢者は、インターネット利用における健康上の困難を経験する可能性が高かった。社会的支援ネットワークは、インターネット利用における健康上の困難さとQoLの関係を媒介していた。
[考察と示唆] インターネット利用における格差は、アクセスやスキルだけではなく、健康状態によっても形成される。インターネット利用における健康関連の困難さは、高齢者の社会的支援ネットワークと生活の質に関係している。テクノロジーの進歩により、社会的なつながりがネットワーク化された個人を中心にしたものになるにつれ、これらの健康関連の困難に対処することにもっと注意を払うべきである。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
こんな話を聞いたことがある。高齢者を対象としたイベントにおいて、最強の集客ツールは「ポスター」らしい。インターネットより、町内会の掲示板や回覧板の方が戦闘力が高い世界が、ある。
いま、僕たちは note・facebook・yahoo news・twitter、といったインターネット上で情報収集をし、申し込みをし、下手したらzoomで参加するという、すべてがネット上で完結する場合すらある。そういう世界で生きていると、みんながそうなのかな、と思ってしまいがちだ。
だが、そうでない人もいる。インターネットという世界のドアの開け方も知らない方もいるのだ。そして、そういった方々は著しくヘルスリテラシーが下がりやすいことが推察される。そのことを肝に銘じ、その方を特定した上で、情報提供戦略や支援方法を構築していく必要がある。本研究はその一助になる。その素晴らしいホームページにたどり着くことができない人たちが、たくさんいる!!