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スポーツ専門化の定義:Sports Specialization

▼ 文献情報 と 抄録和訳

デルファイ法を用いたユースアスリートのスポーツ・スペシャライゼーションのコンセンサス定義

Bell DR, Snedden T, Biese K, Nelson E, Watson A, McGuine T, Brooks MA, Brown R, Kliethermes SA. Consensus Definition of Sport Specialization in Youth Athletes Using a Delphi Approach. J Athl Train. 2021 Mar 31;56(11):1239–51.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 前提知識:スポーツ専門化とは?
”Year round participation in a single sport at the exclusion of other sports”
他のスポーツをせずに、単一のスポーツに年中参加していること >>> site
✅ Key points
- スポーツの専門性に関連するトピックについて、研究者や他のユーススポーツ関係者を一貫して導くためには、コンセンサスに基づく定義が必要である。
- 本研究では、デルファイ法を用いて、学際的な専門家のグループにより、コンセンサスに基づくスポーツ・スペシャライゼーションの概念的な定義を作成した。
- このプロセスを経て、最終的なコンセンサスを得た定義が完成しました。スポーツの専門化とは、1年の大半を単一のスポーツに意図的かつ集中的に参加し、他のスポーツや活動に参加する機会が制限されることである。

[背景・目的] スポーツの専門性について、広く受け入れられている単一の定義は現在存在しない。ユーススポーツ関係者がスポーツの専門性に関連するトピックを理解するためには、コンセンサスのある定義が必要。目的:青少年スポーツの専門性に関するコンセンサスのある定義を作成し、専門性という概念を支える要素を特定する。

[方法] デザインはデルファイ調査。17人の専門家からなるコンセンサスパネルが作成され、青少年アスリートのスポーツ専門性に関する幅広い学際的な視点が提供された。最終的な定義は、4回のレビューを含む反復プロセスによって作成された。文献や専門家の意見を総合的に検討し、当初提案した包括的な定義に6つの要素を追加した。研究チームは各ラウンドの結果を確認し、パネルからのフィードバックに基づいて定義に変更を加えた。主な成果指標は、パネルメンバーに定義と6つの要素を提示し、それぞれについて重要性、関連性、明確性を4段階のリッカート尺度で評価してもらった。

[結果] 4回のデルファイコンセンサスラウンドにおいて、17人の専門家がアンブレラ定義と6つの要素を検討し、コンセンサスに達した。4回目のレビューでは、傘の定義と6つの要素のうち3つが、重要性、関連性、明確性について80%以上の合意を得た。残りの3つの要素は、繰り返し編集しても80%以上の合意が得られなかったため、削除された。このようなプロセスを経て、最終的なコンセンサスを得た定義は以下の通りです。スポーツの専門性とは、1年の大半を単一のスポーツに集中して参加し、他のスポーツや活動に参加する機会を制限することである。

[結論] デルファイ法を用いて、コンセンサスに基づく「スポーツ・スペシャライゼーション」の概念的定義を作成した。この定義は、青少年アスリートを支援する臨床家やスポーツ医学の専門家にとって重要な意味を持つ。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

農家の猫背、ラグビー選手の首、小説家のペンダコ、そして野球選手の上腕骨後捻。
その職業は、人間に特定機能の動員を繰り返し求めることで、雨垂れが石を穿つように、人間の構造をも変えてゆく。
職業病、という。
最適化、ともいえる。

これは、役に立つ、愛すべき歪とはいえまいか?
あるいは、忌むべき非対称か?
こと野球選手に限れば、この偏りが障害を生むらしい。

✅ 2020-2021に報告された野球とスポーツ専門化・障害に関する報告
● 専門性の高いリトルリーグ選手は、専門性の低い選手に比べて投球腕の健康状態が悪かった >>> doi
● 13歳までに高度に専門化された大学野球選手は、中等度または低専門化された選手よりも、主観的な投球腕機能の悪化を報告し、上肢損傷の既往歴を持つ可能性が高かった >>> doi
● 野球に特化していることは、高校野球選手のUE過剰使用損傷歴や投球腕の健康状態の悪化と関連していた >>> doi

これまで、スポーツ専門化の定義はその研究によって、まちまちだった。
それに、しっかりとした定義(やや曖昧か?)がつくられた。
これによって、今後の研究に対する結果の解釈が一貫したものになるし、とても重要な研究だと思う。
それにしても、近年の「やるやつはとことんやる、やらないやつはさっぱりやらない」の二極化はどうしたものだろう?
子どもが減っている中、選択肢だけは、どんどん増えているのに?
何が、この二極化を引き起こしているのだろう?

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