【リハビリ×ChatGPT】ChatGPTと善悪の彼岸
■ 人間機械論
今から200年以上前、時の名医、緒方洪庵が講義の中で述べた言葉だ。
その当時の日本は、まだまだ東洋医学の色が濃く、客観的な解剖とは遠い時代だった。
神秘的な人間の身体を、客観的な仕組みとして捉えたこの言葉は、当時とすればよほど先進的と言えるだろう。
それから、ずいぶんと時が経った。
最近では、人間は、ますます機械に近づいてきている。
例えば、骨格筋1つをとっても、ミオシンとアクチンという2種類のフィラメントから構成される筋原線維にまでクローズアップされ、その機械的な特徴が明らかとなってきている。
やはり、人間の身体というものは、さながらからくり人形の如く、諸機械が各自に運動して、それで生活をしているようだ。
■ 機械人間論
さて、ここまでは近年の『人間→機械』の方向性(人間機械論)をみてきた。
今度は、その矢印をぐるっと真反対に向けてみようではないか。
人間が機械に近づいてきた中で、機械(人工物)もまた、人間に近づいてきた。
例えば、力学的なところでは、筋収縮で動く二足ロボットが開発された。
そして、感覚的なところでは、人工感覚システムが構築されつつあって、温度を感知する義手まで開発が進められてきている。
こんな風にして、明らかになってきた人間の「からくり」を利用して、それを作れるようになってきた。
「からくり」が1つ明らかになるごとに、そうした「からくり」を持つ人工物は、一歩ずつ、人間に近づいてきた(機械人間論)。
そんな中で、よく分からなくなってきていることがある。
それは、『どこまでが人間で、どこまでが機械なのか』。
人間と機械、その間にある境界線が、次第にぼやけてきているように感じるのだ。
例えば、「筋収縮で動く二足ロボット」は、機械ですか、生物ですか、人間ですか・・・。
■ ChatGPTの登場と感じた危機感
まあ、上のいくつかの例はまだいいのだ、あくまでも『効果器』の話であるから。
人間を人間たらしめているのは、『中枢・思考』の部分である。
であるからして、いくら効果器の部分に機械が入り込んだとしても、人間と機械の主従の関係は保たれる・・・。
・・・。
そう思っていた。
そんな時、(僕にとって)彗星の如く現れたのが、『ChatGPT』だった。
ChatGPTをはじめとする人工知能は、その名の通り、なんと『人間の思考』に近い働きをするという。
僕は、とてつもなく、大きな危機感を感じた。
リハビリテーションに従事していると、感じないわけにはいかない真理がある。
それは、『代替すると衰弱する』という真理だ。
例えば、膝関節を屈曲させないようにする装具は、体重をかけた際に膝が折れ曲がってしまうことを防ぐが、『膝を伸ばす筋力』を減衰させる、というように。
これを単純に当てはめるのであれば、ChatGPT(人工知能)が思考力を代替するということは、結果的には効率化が果たされるかもしれないが、使われにくくなった『人間の思考力』自体は減衰してしまうことになる。
この視点から見れば、ChatGPT(人工知能)は、『人間を弱化させる大悪党』ということになる。
だからこそ、ぼくは『全人類がChatGPTを使おうとも、絶対使わん!!!』と決め込んでいたし、周囲の人々に、宣言もしていた。
■ なんと便利なChatGPT
そんな中で、僕の周りの先進的な人々は、次々とChatGPTを使い始めていた。
この辺りで、友達が面白いゲームをやっている姿を横から見ているような、そんな感情をもった。
(やってみたい!使ってみたい!)
という感情を。
彼を知り己を知れば百戦殆からず。
多くの知将は、必ず相手を知りきった上で、策を講じる。
使わない中で、相手(ChatGPT)を知らない中で、ただ否定するというのはいかがなものか。
という建前で、使ってみた。
最初の頃に活用した用途で、とにかく驚いたのは『英論文の図の解説』である。
このプロンプトに対して、ChatGPTは恐くなるほどに、整理された答えを返してきた。
子どものような表現になってしまうが、"魔法のよう" だった。
これに驚愕したぼくは、ChatGPTに関するたくさんの勉強と、たくさんの活用をしてきた。
いまも、し続けている。
その中で、思ったことがある。
『超使える❗️』
■ ChatGPTと善悪の彼岸
ChatGPTは人類にとっての敵であるかもしれない。
そんな危機感は、いまも去っていない。
むしろ、その威力の大きさを知るに伴い、危機感も大きくなるばかりである。
果たしてChatGPTは、
人間(思考力)を減衰させる代替機械か。
それとも、人間(思考力)を拡張させるイノベーションツールか。
ぼくは、もう少しChatGPT(人工知能)の善悪についての議論を深めて、納得した上で、活用するのかしないのか、判断したかった。本音をいえば。
だけれども、そんな重要な議論を置き去りにしたまま、時代はその向こう側へいってしまった。
善悪の彼岸(向こう側)へ。
そして、時代が一方向性であることは、誰もが知っている。
僕たちはもう、インターネットを手放すことはできないし、スマホをゴミ箱に捨てる気もさらさらない。
ChatGPT(人工知能)は、もう既にあるもので、無かったことにはできないのだ。
だから、ぼくも振り返らずに、勇気をもって、歩みを進めてみようと思う。
振り返りたい気持ちを押し殺して、一歩を踏み出した千尋(千と千尋の神隠し)のように。
前へ、前へ、何があろうと前へ!
この歩みを進めたぼくたちは、怪物になってしまうのか。
それとも、しっかりと咀嚼して飲み下し、自らの血肉として超人に近づけるのか。
これから、お付き合いいただきたい。
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