【英文解釈・リーディング教材】動詞と目的語が離れている英文に慣れよう【showed in it my...】
はじめに。
英語を初めて習う時、SVOの語順で書くように習います。
しかし、英語を読んでいると、この語順が崩れることがよくあります。
そうすると、VとOの関係がとても見抜きにくくなり、大きな誤読につながりかねません。
この記事では、そのような現象が起こった英文を紹介します。全部で10文ほどあります。
問題で使用されている英文はすべて、オスカー・ワイルドの作品から引用しています(一部で多少改変しています)。要するに著作権フリーです。
ですので、英語の先生もこちらにある英文を授業で使っていただいて差支えございません。
解説
簡単にいうと、SVOのVとOの間に副詞が入ることがあります。
例えば、
The teacher saw in him a natural leader.
という文を考えましょう。
構文は以下のようになっています。
[S]The teacher [V]saw (in him) [O]a natural leader.
これを普通の語順で書くと、
The teacher saw a natural leader in him.
となります。
ですので、意味は「その教師は、彼の中に、生来のリーダーを見た」という意味になります。要するに、先生がある生徒をみて「この子にはリーダーの素質があるぞ」と思った、ということです。
これがわからないと、himとa natural leaderを無理につなげて
「先生は、生来のリーダーである彼の中をみた」
などと訳してしまうことになります。
この構文を見抜くこコツは以下の3つ。
他動詞を見かけたら、かならず目的語を探すこと
名詞連続を探すこと
前置詞+名詞はカッコでくくること
上の例でいえば、
sawを見た時に、「何を見たんだ?」と思えるようになること
him a natural leader で名詞が連続している、と気付けるようになること
(in him)とカッコでくくること。これによって、himとa natural leaderの区切りがはっきりします。
これが目標です。ではこれを踏まえて問題に行きましょう。
問題
以下の英文を日本語に訳しなさい。その際に太字の動詞の目的語が何かをちゃんと考えてから訳すこと。
1. The reason I will not exhibit this picture is that I have shown in it the secret of my own soul.
2. He pictured to himself with silent amusement the boring lunch that he had missed.
3. Don’t take away from me the one person who gives to my art all the charm it has.
4. Some day, when you are tired of London, come down to this town and explain to me your philosophy of pleasure over some admirable wine.
5. Ordinary people waited till life disclosed to them its secrets.
6. His mere presence seemed to recall to them the memory of the innocence that they had lost.
解説
1. The reason I will not exhibit this picture is that I have shown in it the secret of my own soul.
in itをカッコでくくれば見えてきます。
have shownの目的語は、the secret of my own soulです。そのため答えは
「私がこの絵画を披露しようと思わない理由は、私がその絵の中で私自身の魂の秘密を見せているからである」
となります。
2. He pictured to himself with silent amusement the boring lunch that he had missed.
to himselfとwith silent amusementをカッコでくくれば、pictureの目的語がthe boring lunchだとわかります。ということで答えは
「彼は、ひそかな楽しみと共に、行かなかった退屈なランチを想像した」
となります。
3. Don’t take away from me the one person who gives to my art all the charm it has.
from meをカッコでくくれば、take awayの目的語がthe one personであること
to my artをカッコでくくれば、givesの目的語がall the charm it hasであることがわかります。
ですので答えは
「私から、私の芸術にすべての魅力を与えてくれる人を取り上げないでくれ」
となります。
4. Some day, when you are tired of London, come down to this town and explain to me your philosophy of pleasure over some admirable wine.
to meをカッコでくくれば、explainの目的語がyour philosophy of pleasureであることがわかります。over ~で「~を飲みながら」です。
答えは
「いつか、ロンドンに飽きたら、この街まで来て、素晴らしいワインを飲みながら私にあなたの快楽の哲学を説明してくれ」
となります。
5. Ordinary people waited till life disclosed to them its secrets.
to themをカッコでくくれば、disclosedの目的語はits secretsであるとわかります。
答えは
「普通の人々は、人生がその秘密を彼らに明かすまで待った」
となります。
6. His mere presence seemed to recall to them the memory of the innocence that they had lost.
to themをカッコでくくれば、recallの目的語がthe memory of the innocence that they had lostであることがわかります。
ですので答えは
(直訳)「彼の単なる存在が、彼らがなくしていた無邪気さの記憶を彼らに想起させるようであった」
(意訳)「彼がいるだけで、彼らは失っていた無邪気さの記憶を想起しているようにみえた」
入試問題
この構文が出題されている大学入試問題を以下にお知らせします。
入試問題は著作権フリーではないので、ここには掲載できません。
しかし、東進過去問データベースなどで閲覧可能です。
奈良女子大学 1999年 第1問
京都府立大学 2016年 第2問
入試問題のリストは随時更新していきます。