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偏食突破大作戦5 ~実践Ⅳ 暗示をかける~

 実践編も4つ目となりました。偏食を抱える幼児と関わる方にとって、少しでも参考になるものがあればと思います。

 少し間が空きましたし、まずはおさらいから。
 「幼児の偏食の理由」として、①味覚が未発達だから、②トラウマがあるから、③食べず嫌いだから、の3つを挙げました。

 また、ひと口に「嫌い」と言っても、子供たちによってその度合いは様々です。
A:がんばったら食べられる
B:時間を掛けたり少量ずつだったりしたら食べられる
C:先生と交渉した分だけ食べる
D:先生が口元まで運ぶと食べる(自分からは食べない)
E:口の中で噛み続ける(飲み込まない)
F:食べない(口すら開けない)
G:拒否・隠ぺい(吐く、捨てる、床に転がして「落ちた(から食べない)」と言い張る、友達に食べてもらうなど)

 この度合い、嫌いな食べ物があったとき、Aが最も理想的な姿で、Gに進むほど「がんばってほしいな~」という先生たちの思いが強くなります。
 そして、できることならばGに至る前のD~Fの段階で、A~Cの段階に進めたらいいなと、手を変え品を変え様々な教育的テクニックを駆使していきます。

実践Ⅳ 暗示をかける

 この実践は、上記の「偏食の理由」②や③をもち、「嫌い」の度合がA~Eの幼児に有効です。

求められるのは教師の演技力

 4歳児になると多くの幼児に自我が芽生え始めていますが、まだまだ空想やイメージの世界が混在し、そのような意味で暗示にかかりやすい発達段階でもあります。
 例えば子供たちの目の前で調理をするとき、「このスパイスは、野菜嫌いな人でも野菜が食べられるようになる魔法のスパイスやけん」などとまことしやかに伝えると、「本当やん!」と普通に食べます(笑)。
 大切なのはリアリティ。ある程度の設定(前にもそんな幼児がいたとか、あそこのお店に○曜日しか売っていないとか)をつくっておくのもいいでしょう。そして迫真の演技でそれを子供たちに伝えるのです!味見をしてみせるのも効果的です。

育てただけでは食べない

 幼児教育業界に昔からはびこっている勘違いの1つに、「自分たちで育てた野菜だったら苦手でも食べられる」というものがありますが、それだけでは食べません。大人でもそうですよね?だって、育てただけでは上記の理由①~③を1つも解消していないんです。
 苦手な子は、植える段階から「どうせトマトとか食べれんもん!」なんて言ってきます。そこで暗示の出番です。「このトマトはね、苦手な人でも美味しく食べられるトマトなんよ。店長さんが言ってた」なんて真顔で伝えるのです。栽培して、生長が実感できるようになったときは、「やばっ!美味そう!!」なんて殺し文句です(笑)。教師が言うのもいいですが、その野菜を好きな子の反応を伝えると一層効果的です。
 そうすると、調理する前、食べる前から、「もともと美味しい苗なんだし、ちゃんと育ててきたし、○○君も美味しそうって言ってるし・・・」と暗示がかかります。抵抗がほとんどなくなるわけです。

いかにリアリティを出せるか・・・教師の腕の見せどころです

トラウマと思い込みに効果的

 暗示をかけることの有用性は、理由②・③、すなわちトラウマと思い込みに効果があるというところです。これら2つは外的要因というより本人の内面に関わる要因ですから、極端に言えば本人にしか変えることができないわけです。ただ、方法がないわけではありません。そのように思い込んでいるのなら、さらに強いポジティブな思いを上書きしてやればいいのです。

 この実践が成功すると、効果がかなり長い期間持続します。その間に(理由①の味覚が発達して)本当に食べられるようになると、暗示が切れてももう大丈夫。
 保護者の方の中には、同じスパイスをわざわざ購入されて、家庭で(迫真の演技と共に)挑戦される方もいらっしゃいます。それまで食べられなかった物を食べてくれるって、やっぱり嬉しいですよね(^O^) そのためだったら演技の1つや2つ何のその。
 ただ、なぜか「つとむ先生限定(幼稚園限定?)」で暗示にかかっちゃう子がいつも数名いて、「先生、同じスパイスで同じように作ったんですけど家では食べなくて・・・」と保護者からご相談が( ゚Д゚) え~っ!?私よりお家の方の方が絶対料理上手いはずだし、そこは家でも食べてほしいな~(>_<)

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