理想と今の私 ~利用者の想いに触れて No.1
訪問リハビリで利用者のところへ出向いているなかで、本音に触れたことを綴ってみて、考えてました。
理想と今の私
「私ピアノの音色が好きなのよ」
意外だった。そんな話を聞いたの初めてだった。「うちの娘にピアノを習わせたんだけど、中学校になって部活が忙しくなってやめちゃったのよね。」「それから家を出て行くとき、ピアノ持って行くって聞きたんだけど、マンションだからいらないって言われて、写真1枚撮って捨てられちゃったわ。」
自らも、音楽を楽しむことが好き。特にピアノの音色が好きで、CDなどでピアノの音源を聞いていたり、娘さんに弾いてもらったりしていたらしい。
「それから大正琴とかコーラスとかやったんだけどね。体も悪くなっちゃったでしょ。うちの旦那にも家のこと、私の介護とか願いしてるし…。余裕がなくてね。」
「この前テレビでやってたの。ストリートピアノを弾きに来るおじさんが1人いて、週1回、娘さんにお願いして連れて来てもらうんだって。それ以外の日は奥さんの介護やってるんだって…。」
そんな話をしてくれた彼女は、遠くを見ていた。いろんな思いが詰まった発言なのだろう。聞いていて切なくなった。
やりたいことがある。でも体が言うことを聞かない。介護してくれている夫に気を使っている。もう歳だからと諦めている。
リハビリの立場だから、自己表現や余暇の時間が必要ですよ。豊かな時間を作りましょうと伝える。
頭ではきっとわかっているのだろう。
だけどね、
それが難しい人だってたくさんいる。
やりたいことができれば、どれだけ幸せだろう。
とても難しい話だと改めて思う。
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