【観劇】『蒼穹の昴』宝塚歌劇 雪組(西太后のことしか書いてない)
浅田次郎さん原作の蒼穹の昴を観劇ました。
浅田さんの本は何度か宝塚で舞台化しており、わたしは好きな作家さんですが、本ごとに毛色が違っていて、新たに読むたびに、「へぇ~こういうのも書いちゃうんだ~」と驚かせていただいています。
舞台化したものも、見事に系統が違って、チョイスは演出家さん任せな部分があるから好みとこの組でやるならみたいな感じで選ぶのでしょうが、浅田さん原作のときはけっこう期待しています。
あらすじは今更なので書きませんが、朝美絢さんの京劇シーンは足運びといい目を奪われました。
今作には専科さんが多数出演されており、とくに西太后役の一樹千尋さんは圧巻でした。
一樹さんの女役は初見なのですが、いや~迫力あった~
西太后はこの舞台の影の主役ですな。(歌も良かった)
(公演を観た感想として書きますので、彼女はそんな良い人じゃないとか歴史的な見解はなしでお願いします)
為政者としての彼女には清国の民を守らなくてはならないという覚悟が溢れていました。
その為ならば、どんな厳しいことも言うし、していく、そのせいで自分がなんと呼ばれようと甘んじて受け入れる。
西欧列強に食いつくされようとしている清国を守るために彼女は必至だった。
でも素の彼女は幼くして皇帝にしてしまった光緒帝の行く末をとても案じていて、母親のような目で見ていた。憎悪の対象が彼に行かないように必死に盾になっていた。
2人の歯車がほんのちょっとズレたために、光緒帝は退位に追いやられ半ば幽閉のような身の上に。
それは2人の周りにいた家臣たちの讒言や、良かれと思って言ったことが、観ている側には、「そうじゃないんだよ~」「なんでそんな風になっちゃうんだよ~」「どうしてそれを信じちゃうの~」というもどかしさと悲しさを残しました。
終盤、家臣たちのせいですれ違う西太后と光緒帝に「悲しいな~」と、わたしはつぶやき、主人公なんだけど、梁文秀、余計なことをしやがってと思ったよ。