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『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を観てきた※微ネタバレ

 怪談師さんやホラー作家さんで怖いと絶賛されていましたね。レイトショーで観てきました。

 映画館はほぼ満席で、ホラーファン以外のライト層もそこそこいた印象でした。前評判の良さ、どこからか伝わっているんでしょうかね?

 ちなみに来場特典として背筋さんの短編が配られてました。背筋さん、読みやすいし近畿地方〜は読んだことがありますが、読者に考察させるタイプの方ですよね。この短編はまだ読めてませんが楽しみです。

 この映画自体も、なんとなくそうかなーと思っていましたが、明確に怪異の正体は説明されない考察系でした。

 ストーリーは、過去に主人公の弟が森の中の廃墟で失踪し罪悪感を引きずっていたところ、大人になって、今の同居人と共に実家に帰り、あの森に再び足を踏み入れ怪異に遭遇する、という流れです。

 雰囲気を出すためなのか、全体を通してセリフは少なめ、会話でも間をたっぷりとり独特な感じ。怪異に遭遇するまでが長く、起伏のあるシーンが少ないため上映中にいびきかいて寝出す人もいたくらいです。

 叫びたくなる怖さではなく、断片的な情報が集められて怖さの輪郭が炙り出されていくような作品。モキュメンタリーの作り方に似ている印象を受けました。

 森に潜む何かに、確実に誘われているのにその正体がわからない。途中で遭遇する霊的な何かはずっとピンボケしていて焦点合わず、それがまた不気味でいい。

 こういうのは視覚化されすぎないほうが怖いですね。幽霊のビジュアル作り込み過ぎてたらどこか興醒めしてしまうので。。この現象はなんなんでしょうか。怖いもの見たいのに見たくないっていう。

 また作中に出てくる、鍵となる小道具はビデオテープの映像だったりカセットテープの音声だったり。モキュメンタリー好きだからこういうの登場してくるとテンション上がっちゃいます。

 総じての感想は、怪異の演出は好みでしたが、この作品に1時間44分は長かったな〜〜!と思ってしまいました。1時間強くらいに納めてちょうどいいくらいでは。

 雰囲気出すためだと思うんですけど、本当に全ての展開でたっぷり間をとるんですよね。これが個人的に辛かった。それで怖さが増長されるならいいのですがそんなことはなく、ただただ単調に感じてしまった。動画2倍速で見るタイプの現代っ子は同じ気持ちになるんじゃないかな。せめてその間を埋める登場人物たちのやり取りがあれば良かったんですけど、セリフが極限まで削られている印象でそんなことはなく、静止画みたいなシーンがかなりあった気がします。というか普通の会話すら、相手の質問に答えず黙り込む、みたいなシーンがわりとあって、こういうのが少しだけだったら意味深で印象的でなんの伏線だろう?とワクワクするんですけどね。

 セリフですが、これは作者の美学なのかな、必要最低限のやり取りのみ、無駄を削ぎ落とされている印象で、だからこそモキュメンタリーで感じる“本当にあるような自然さ”はなくどこか作りものめいている感じ。どんな狙いがあったのかな。

 なんかこうして書いていると、私がホラーの情緒を感じられなくなっているだけなのかも。。

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