ドメーヌ・ナカジマ、ペティアンナチュールロゼ、2021
中島さんのワインとの付き合いは長い。
私は12年間、松本、諏訪、飯山、上越などを転々とする生活を送っていたが、さかのぼること2003年ごろに小布施ワイナリーのワインを飲んだり、岩の原葡萄園のワインを飲んだりして、日本のワインの可能性に触れた。
塩尻の城戸ワイン、洗馬のVOTANO WINEなど、中信地域のワインを探ったのち、東信でもヴィラデストワイナリーやリュードヴァン、はすみふぁーむなどのワイナリーが育っていることを知った。主に、2000年代末のことである。石井もと子さんによる『日本のワイナリーに行こう』の最初が2007年度版であったことを思い起こしてみるといいかもしれない。
2010年代になると、さらにワイナリーが増えていった。その中で、長野県小県郡青木村のファンキー・シャトーや長野県東御市のドメーヌ・ナカジマが、グリ・グリやペティアン・ナチュール・ロゼといった巨峰などの買い葡萄による、泡ものを出していった。自園の葡萄はまだ生育段階であったがゆえだろう。
そこから、ペティアン・ナチュール・ロゼは毎年複数本購入して、味わいの変化を楽しんでいる。たまたま近所にあった酒屋さんが、このロゼを仕入れていたためでもあった。グリ・グリは入荷にばらつきがあった。
今年度もまた、ペティアン・ナチュール・ロゼの2021を購入できた。
今年も去年と同様に、ガス圧は控えめで、到着後5日、寒い室内に縦においておき、抜栓しても噴くことはなかった。発泡感よりも、ロゼワインとしての存在感が強かった。どちらが好みかというと、なかなか難しい。
桃のような香り、杏のような香りがして、そこまでの複雑さはないものの、春の気配を感じ取れる。リリースは冬だが、私が飲むタイミングは3月くらいで、春待ちのワインである。
味わいは、チャーミングな酸味に、若干のアンズアメ感がある。下の写真はオリを混ぜ込まずに注いだもので、透明だ。これだと、よりドライに感じられる。
上の写真はオリを混ぜ込んで、注いだものだが、これだとより果実感があり、かわいらしい味わい。ボディの輪郭は、オリがない方がシャープだが、ふんわりとしたオリオリのにごりで飲むのもまた一興である。
桜が開花するのかどうか、よくわからない気温や天気だが、春待ちワインとして、この色でお花見というのも、洒落たものである。
ドメーヌ・ナカジマは今や入手の難しいカルト・ワイン化しつつある。それがいいことであるとは思わないが、家族経営のために量を増やすことはなかなかできないだろう。その中で、ナチュール・ロゼは比較的県内であれば手に入りやすいと思うので、我こそはと思う向きはぜひ賞味していただければと思う。価格は2000円程度。
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