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「からごころー日本精神の逆説ー」長谷川三千子著(中公文庫)/深い思索が心に届いて、日本人とは、自分とは何かを静かに考えさせてくれる

「からごころー日本精神の逆説ー」いつも渾身の長谷川三千子氏三十代後半の力作群

冒頭に核心の「からごころ」から始まる真に思索を繰り返した末の日本人論。
発表から30年近くを過ぎて2014年に文庫化され、発表当時衝撃を受けた若き小川榮太郎が解説でこの論説の核心を鮮やかに解きほぐしてくれている。
全ては、小川榮太郎が言い尽くしていて、ここになにも書くことはないとも思わせられるが、、、、

日本人が思うとは、考えるとは、を自分の心に寄り添って思索するのに、必須のアイテムであろうかと思う。

「からごころ」の最後に見事な筆致で結論を導く、著者長谷川三千子の真摯な、真に真摯な姿勢に感銘を受ける。

「やまとごころ」と「からごころ」が表裏をなしながら、いつの間にかくるっと反転してメビウスの輪のように結びつく、この表裏一体の動的なものが日本である、との看破は確かにこころに刺さる。

長谷川三千子氏には、さらに名作「神やぶれたまはず - 昭和二十年八月十五日正午」 (中公文庫)があるが、

この「からごころ」とともに、繰り返し読みをすることが必須になる類の著作である。
「神やぶれたまはず」も再再度繰り返し読みした。
この「からごころ」もいま、「やまとごころと『細雪』」の再読中である。

こういう本をこそ、読書すべきであろうと思う。

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