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「べーっ」とする子どもの行動の背景要因を応用行動分析を使って考えてみた

皆さんは、私へ「ベーっ」とするのはどうしてだと思いますか?

現在、教室での学習が難しいAさんがいます。通級指導教室への学びの場の変更を検討し、私も関わっているお子さんです。

数回、通級指導教室での学習を済ませたあたりから、突然「べーっ」としだすようになったのです。正直、心当たりはありません。

嫌いだから?
そのような子もいるかもしれません。

ツンデレだから?
そのような子もいるかもしれません。

本人に聞いてみたら?
言うわけがありません(笑)

色々な感情があると思いますが、本当に嫌いであれば、無視をするはずです。「ベーっ」なんてそんなことをわざわざするのは、嫌いなんかじゃないはずです。

顔を合わせたくもないはずですし、話したくもないはずです。いちいち近くに寄りたくもないはず…

じゃあ、なぜ?

その児童理解をするのが、我々の仕事です。今から、応用行動分析で考えてみたいと思います。全ての児童の行動には背景要因が存在します。行動にはきっかけがあり、行動したことによる報酬を得ているのです。


「ベーっ」とする行動の報酬として、された側の注目が欲しいのです。「ダメでしょ」「やめなさい」という注意をして欲しいのです。

この行動を、注意喚起行動と言います。「もっと、私を見て!」と言う注目が欲しいのです。でも、声をかけることができないので、代替行動として「ベーっ」とするのです。

だって、わざわざ私の方をずっと見てきて、私が注目するのを待っているのですから。そして、私が見たら、すかさずベーっとするのです。面白いですよね。

これも、応用行動分析を知らなければ、不適応行動だと捉えられて注意や叱責ばかりすることになるでしょう。しかし、注意喚起行動であるならば、正しい注目の方法を教えてあげれば良いのです。

肯定的無視を決め込み、良い注目の行動をしたときにはすかさず褒める。その繰り返しを行なっていけば、必ず「ベーっ」の行動は自ずと減っていくと考えます。

ちなみに、応用行動分析は、行動の前のきっかけも考えます。そもそも、注意喚起行動は聞き手が注目していない状況は、子供にとって困った状況なのです。注目してもらわないと困るのです。寂しいとか、悲しいとか、心にぽっかり穴が空いているとか、そんな欠けた感情を埋めるために「ベーっ」として注目を得ようとしているのです。そう考えれば、この子をただのわがままで無礼で失礼な躾のなっていない悪い子だと決めつけられないでしょう。

その行動を切り取らずに、前後の背景要因とその結果、何を報酬として得られたかで分析するのが我々特別支援教育に携わるものの仕事です。

さらに言えば、「誰が言うか」も非常に重要です。その誰がにならなければなりません。その鍵は、信頼関係です。「この先生の言うことは聞かなければならない」と思わせるのです。そのためには、日々の関わりの中でしか育まれません。暖かな触れ合いの中で、信頼関係を醸成していきたいものです。

今日の記事は以上になります。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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