生理中、足がパンパンでツライ人へ
足のむくみ、医学的には「下腿浮腫」という。
原因は様々だが、血管内の水分が血管の外に浸み出した状態である。
なぜ血管から水分が染み出るのだろうか?
血管に穴があいているのか?
血管には、心臓から全身に血液を送るための太い血管もあれば、「毛細血管」と呼ばれるような髪の毛の10分の1ほどの太さしかない血管もある。
この毛細血管には細かな孔がたくさん開いており、そこから血管の外へと浸み出ていく。
通常、この浸み出ていく水分の量は調節されているが、何らかの原因でその量が多くなった場合、行き場を失った水が溜まって「むくみ」となる。
生理で足がむくむ理由
一言で述べるなら「ホルモンのせい」である。
女性ホルモンには、卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2つがある。
生理(月経)が終わると、この2つのホルモンのうち、エストロゲンが増加してくる。このエストロゲンには、代謝アップや精神状態の安定化、肌の潤いやツヤを守る……といった、女性にとってうれしい作用がたくさんあるので、エストロゲンが増えていく時期は「心身ともに好調」でいられる時期となる。
このエストロゲンは排卵を境に減少し、もう一つのホルモンであるプロゲステロンが増えてくると、心身ともに不調になりがちとなる。この時期は、排卵を合図に妊娠を維持しやすい状態に身体を整えようとして、栄養や水分を体にたくわえるのため、太りやすい・むくみやすい時期でもある。つまりプロゲステロンは妊娠の準備のためのホルモンとも言える。基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させ、乳腺を発達させる働きもある。
エストロゲンとプロゲステロンの両者の分泌が下がりきると、次の月経が始まる。
プロゲステロンとむくみ
これまでの研究で、プロゲステロンの作用によって血漿量が増加し、細胞外液も増加したことが報告されている。プロゲステロンは副腎皮質からのアルドステロン分泌を促進させ、ナトリウムの再吸収を促進する。また、プロゲステロンは血管内皮の損傷にも影響し、浮腫の形成につながることが報告されている。
ということは
足のむくみを取るには、ナトリウムを減らすような対応をとれば良い。
生理中にカリウムを摂るように勧められることがあるのは、カリウムにナトリウム排出促進効果があるからだ。なお、カリウムはバナナ、メロン、アボカドなどの果実類、ほうれん草などの野菜類、さつまいもなどのいも類、大豆や小豆などの豆類、魚類、肉類に多く含まれている。
また、利尿剤を使って改善させるとなれば、抗アルドステロン薬が効くと言える。ちなみに、抗アルドステロン薬としてよく用いられるのはスピロノラクトンという薬である。