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脂肪肝~治すには体重を何キロ落とせばよいのだろうか?~

30歳を超え、着実に体重が増えつつある今日このごろ。
ついに脂肪肝と診断されてしまったのである。
治療について考えていく上で、自分への戒めも兼ねてまとめてみよう。
同じように脂肪肝で悩んでいる人、ぜひ参考にしてほしい。
今回の内容は『小池和彦ら、脂肪肝 NAFLD/NASHの理解と高リスク群の囲い込みへ、内科総合誌Medical Pracice2023年9月号、1315-1319』を参考にしている。

脂肪肝とは

一言で表すならば、「肝臓に中性脂肪がたまった状態」である。
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余分なエネルギーを体は中性脂肪につくり替えて蓄える。ではどこに蓄えるのか?
腸間膜(いわゆる「内臓脂肪」)や皮下脂肪組織が多いが、エネルギーの貯蔵庫としての機能を持つ肝臓にももちろん溜まり、肝臓の細胞30%以上に中性脂肪がたまると脂肪肝と診断される。

この脂肪肝、初期にはほとんど症状が見られないが、何も症状がないからと放っておくとやがて肝炎を起こし、肝硬変に進行することもあるのが厄介な点だ。

脂肪肝の原因

一昔前、脂肪肝はお酒の飲みすぎで起きるとされていたが、最近ではお酒を飲んでいないにも関わらず脂肪肝になっている人がいることが報告されており、脂肪肝の原因を考えるときには①アルコール性、②非アルコール性に分けて考える。

非アルコール性のほとんどは過食(食べすぎ)によるものだが、糖尿病などの病気に合併したり、薬の副作用も原因となる。脂肪肝を起こす薬剤としては、副腎皮質ステロイド、アミオダロン、タモキシフェンなどが代表的だ。

脂肪肝、治療って必要なの?脂肪肝のまま変わらず経過する人もいるじゃん・・・。

脂肪肝は日本の成人の約3割に見られると報告されている・・・。
3割!?結構多いな。全員が病院を受診すると病院がパンクするだろう。
脂肪肝は、肝硬変や肝臓癌にまで進行することがあるというのは上に記載したが、一方で脂肪肝のまま変わらず経過する人もいる。肝硬変に進行する人としない人との違いはなんであろうか?

どういう人が肝硬変に進行しやすいか、についてはまだわかっていないことが多いが、重要な予後因子として肝の線維化が言われてきた。炎症が起こり、肝が線維化を起こすと肝硬変に進行する。このように進行する非アルコール性脂肪肝を「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」と呼び、非アルコール性脂肪肝の中の1~2割に程度に存在する。ほとんど進行しない脂肪肝は「単純脂肪肝」と呼ばれる。

ちなみにこの非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、正確に診断するには、肝生検(肝臓に針を刺し、細胞を採取してくること)と病理診断(顕微鏡で組織を観察すること)が必要である。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)じゃなければ放っておいていい?

Q. 肝硬変に進行する脂肪肝(=非アルコール性脂肪肝炎、NASH)でなければ安心か?

A. No。否。そうではない。そうではないんだよ・・・。減量しないといけないんだよ。食事制限しないといけないんだ。さよなら唐揚げ。

脂肪肝には三大合併症というものがあり、具体的には①心血管イベント、②肝臓以外の悪性腫瘍、③肝疾患、の3つだ。このうち、心血管イベントが最も多く、次に他臓器悪性腫瘍。肝疾患は3番目である。

心血管イベントとは、心筋梗塞や脳梗塞などに代表される心血管系の病気のことだ。肝臓以外の悪性腫瘍としては、大腸癌や乳癌、甲状腺癌が関係すると言われている。単純脂肪肝だから放置しても良い、というわけではないことに注意。なお割合でいうと、心血管イベントは年率1%、他臓器悪性腫瘍は0.8%、肝癌を含めた肝疾患イベントは0.4%と報告されている。

つまり、肝硬変に進行するような脂肪肝(=非アルコール性脂肪肝炎、NASH)は肝臓関連で、そうでない脂肪肝は脳梗塞や心筋梗塞、もしくは肝臓以外の癌になる危険性があるということだ。

体重、何キロ落としましょうかね

体重減少の目標としては、「5%で脂肪肝が減る。7%で活動性が減る。10%で線維化が改善する」とされている。上記の参考文献では、まず体重を3kg減らすように指導していると記載されていた。
食事療法については、それまでのカロリーから2~3割減らすことが望ましい。他に合併する病気があるなれば、それに合わせた制限を追加する。具体的には中性脂肪が高いなどの脂質異常があるなら脂質制限を、血糖値が高いのなら糖質制限を行う。

健診結果は・・・中性脂肪、高いな。血糖値は大丈夫。
唐揚げ、揚げパン、カツカレー。
さよなら、また会う日まで。



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