悪い癖
今日は友人との忘年会のため、高速バスで福岡に向かっていた。
いつもなら車内で本を読むか、動画を見るか、寝るか、寝るかのどれかだ。今日も今日とて、乗車してすぐに睡魔に襲われ、完全降伏して眠りについた。
1時間ほどして目が覚めた。頭はスッキリして、もう睡魔が襲ってきそうもない。本を読もうと思い、バッグから取り出すが、なんか集中できない。一旦本を閉じ、今度はスマホで動画を見ようと考えた。この前配信された「ドキュメンタル10」を見たかったのだが、電波の入りが悪い。10秒に1回は動画が止まり、動き出すまでに30秒くらいかかる。ちょうど、電波の悪い場所なのかも知れない。動画も一旦、諦めることにした。
バスの車窓から見える景色をボーッと眺めてみるけど、退屈で仕方ない。
スマホでゲームでもするか。もう一度スマホを手に取り、面白そうなゲームを探した。
僕は、普段ほとんどゲームをすることがない。昔からゲームをするのは大好きだったけど、一度やり始めると納得するまでとことんやらないと気が済まない、という悪い癖がある。それを自覚しているから、時間を無駄にしないよう、スマホの中にゲーム入れないようにしている。任天堂Switchやプレステも喉から手が出るほど欲しいけど、買っていない。
サクッと楽しめるゲームがないか探し、2つのゲームをダウンロードした。「ピンボール」と「ソリティア」だ。この2つなら、サクッと短時間で遊べそうだし、ルールも知っているから覚える必要がない。
相変わらず電波は悪かったが、なんとかダウンロード完了した。ほんの軽い気持ちでゲームを始めた。
……まんまとやられてしまった。ため息が出るほど面白い。気づけば目的地に着いていた。でも、まだ辞めたくない……。
仕方なくゲームをやめ、待ち合わせ場所に向かう。その時、友人からLINEでメッセージが来た。
「ごめん、寝坊して少し遅れそう」
「あ、もう全然ゆっくりでいいよ!」
内心ガッツポーズで、近くにあったスタバに入りゲームを再開する。
ピンボール、ソリティア、ピンボール、ソリティア、ソリティア、ピンボール…………。
僕の年末年始は、ピンボールとソリティアで終わってしまうかも知れない。