兼子大清

batons writing college 1期生

兼子大清

batons writing college 1期生

マガジン

  • かく、つなぐ、めぐる。

    • 33本

    『かく、つなぐ、めぐる。』はライター・古賀史健さんが開講したbatons writing college (バトンズの学校)の1期生有志によるマガジンです。「書くこと」を通じて出会った仲間たちと、これからもつながっていける場をつくりたい。そして、古賀さんから受け取った大切なバトンを胸に、この先もみんなで書き続けたい。そんな思いから、私たちはこのマガジンを立ち上げました。毎月、2つのキーワードをもとに、11人の"走者"たちがバトンをつなぎます。記事の更新は3日に1度。書き手それぞれの個性的なエッセイをお楽しみください。

最近の記事

大晦日、蟹を食う。

汚れた鏡に映る寝癖のままボサボサの頭、昨日食べたコンビニ弁当の袋、ゴミ箱代わりに使っていたティッシュ箱いっぱいに詰まった電子タバコの吸い殻、開封していないまま机に放り投げられた封筒の山、電池が切れたまま放ったらかしにしている卓上時計。 上京する時「困ったら使いなさい」と言われて母に渡された10万円入りの茶封筒、「お前のおかげで仕事が楽しくなった」と書かれた元同僚からの手紙、上京してまもない頃に奮発して買ったメイプル色したフェンダーのテレキャスター。 埃、飲みかけの缶コーヒ

    • だいじょうぶ! #かくつなぐめぐる

      宇宙旅行にさえも行けるようになり、いつ宇宙人と出会えてもおかしくない現代で、海外にすら行ったことがない。 そんな僕も、上京してから約2ヶ月が経った。少しづつ慣れているような気もするけど、「慣れてたまるか」という気持ちもある。順応はしたいけど、自分のことを「東京民」だとは思いたくない。でも、決して東京のことが嫌いなわけではない、むしろ好きだ。 こっちに来てからよく、小学生の頃、自分の持っている絵の具をパレットの上で全部混ぜた時、ヘドロみたいな色になったことを思い出す。東京に

      • いつだって本気になれば。 #かくつなぐめぐる

        今も昔も野球が大好きだけど、ずっとそうだったわけではない。 ーー高卒で就職することを前提に考え、希望する企業への校内推薦をもらうことを目的に野球部に入っていた僕だったが、野球部のスパルタ加減は想像を遥かに超えるものだった。”甲子園”や”プロ野球”のような目標があるわけでもなく、雨が降れば練習の中止を期待し、台風発生のニュースを見ては上陸を願っていた。 そんな日々を過ごした結果、僕は野球が嫌いになっていた。 ********** 小・中とピッチャーしかしていなかった僕は

        • 甲子園はテレビで見るもの #かくつなぐめぐる

          夏といえば何か? と問われたら、海、スイカ、風鈴など思いつくものはたくさんあるが、その中の1つに「甲子園」がある。正式名称は「全国高等学校野球選手権大会」だ。しかし、甲子園と言うだけで多くの人はそれということが分かる。それだけ、多くの人に愛されているということだろう。開催期間限定で放送される『熱闘甲子園』なんて、号泣不可避だ。そんな涙もろい僕も、かつては高校球児だった。毎日、泥だらけになった練習着のTシャツを風呂場でゴシゴシと洗っていたものだ。 毎年、甲子園を見るたびに自分

        マガジン

        • かく、つなぐ、めぐる。
          33本

        記事

          はじめての部屋探し

          東京に来ている。 今まではどこか他所者気分だった。そもそも目的が買い物だったり、学校に通うためだったりと、「帰ること」前提だったのだ。 人混みの中を歩いていても、視界に入る人達を「これが東京の人かー」と、口をぽかんと開けながら見ていた。 でも、今回は違う。 来月に控えた転職のため物件探しに来ているのだ。 僕も来月からは、すれ違っていく人達の中の1人になる。そう考えると、複雑な気持ちになった。ずっと憧れていた東京に住めるという嬉しさもあるけど、本当に来ることになっちゃっ

          はじめての部屋探し

          ペン事情

          久しぶりにシャーペンを使った。 学生時代までは毎日シャーペンを使っていたのに、会社に入り、気付いた時にはボールペンに変わっていた。今の一軍はフリクションボール(消せるやつ)だ。 でもよく考えてみると、消せるボールペンはもはやポールペンではない気がする。紙に書いた質感がボールペンっぽく見えるというだけで、消せるという点ではシャーペンと一緒だ。 それなら、シャーペンでも良いじゃん! と思って使ってみたのだが、ボールペンに慣れた指先だと、とても書きにくい。正確にいうならば、摩

          肉を切らせて骨を断つ

          最高だったなー。 今日、昼から開催されていた「THE MATCH」。普段はメインマッチしか見ないことが多いけど、今日の対戦カードはどれも面白そうだったから、腰を据えて全試合を観戦した。 普段と違って、K-1とRISEという他団体同士の試合が組まれていた今回は、ファイター同士が互いの看板を背負って戦っていたのもあり、本当に熱い試合ばかりだった。 ニュースに出るのは、きっと那須川天心と武尊の試合ばかりだろうけど、試合内容だけ見ればメインよりも見応えのある試合は沢山あった。も

          肉を切らせて骨を断つ

          スピードかパワーか

          明日が楽しみで仕方ない。 那須川天心VS武尊を遂に見ることができる。 にわか格闘技ファンの僕でも、随分前から「この2人が戦ってくれないかなあ」と思っていたカードだし、「でも、どうせ無理なんだろうなあ」と思っていたから、対戦が決まった時は、興奮した。 小学生の時から格闘技を見るのが好きで、当時は魔裟斗や武蔵などの日本人選手はもちろん、ミルコクロコップとかレイセフォーなど、外国人選手達のことも大好きだった。 その選手達が徐々に一線を退いていくと共に、僕の格闘技熱も冷めてい

          スピードかパワーか

          懐かしき、タンヤオ

          久しぶりに麻雀ゲームをした。 ちょっと嫌な予感はしたけど、やっぱり当たった。まんまとハマってしまった。少しでも時間が空いたら、アプリを開き麻雀をしてしまう。こりゃ、当分の間は抜けられそうにない。 学生時代に麻雀を覚えて、会社に入ってしばらくは先輩と定期的に雀荘に行き、ラーメンの出前なんかとりながら、朝まで打っていた。 ここ数年は、職場に麻雀好きが居ないのと、忙しいのとで、ほぼやっていなかった。 そして昨日、車での移動中に聞いていたラジオで麻雀の話題が取り上げられていた

          懐かしき、タンヤオ

          安上がりで満足

          寿司屋に行った時、一番美味しいと思うのが海苔巻きなのだ。 回転の有無は関係ない。その店の価格帯に関係なく、好きだ。 大トロよりウニより、海苔巻きが好きなのだ。いや、それは言い過ぎだけど、同じくらいは好きだ。 学生時代までは回転寿司ばかり行っていたから、どの寿司を選んでも金額は100円だ。だけど、大人になると回らない寿司に行く機会も増えてくる。そんな時、サラダ巻きとか鉄火巻きを頼むと、場にふさわしくない感が出てしまう。それに、誰かに連れて行ってもらったときは「遠慮しないで

          安上がりで満足

          増える予定と衰える記憶力

          スケジュール管理をもっと上手くやりたい。 僕の職場では、Excelで作った自家製カレンダーに全員が予定を記入し、管理しなければならない。 OutlookやGoogleカレンダーなどのソフトを使いましょうよ! と提案して採用されたこともあるが、運用を始めてすぐに「不便だ!(使い方が分からない)」という理由で打ち切りとなった。絶対Excelで手入力するより便利なのに! 一方で、プライベートのスケジュールは何も管理していない。自分の記憶だけが頼りだ。何度かスマホアプリなんかを

          増える予定と衰える記憶力

          夢の中で走ってばかり

          最近、追いかけられる夢をよく見る。 知らない人、大量の野良犬など、日によって僕を追いかける人は違う。大体、間一髪のタイミングで逃げ切って、その瞬間に目覚める。日によっては、自分の叫び声で目覚めることもある。我ながら怖い。 昨日もそんな夢を見て、深夜に目覚めた。時計を確認したから正確な時間は分からない。 目覚めた瞬間、昔先輩に言われた言葉が頭に浮かんだ。 「30超えて周りに敵が居ない人は、自分に芯が無い証拠だよ」 いつ誰に言われたのかすら憶えてないくらいの淡い記憶だけ

          夢の中で走ってばかり

          花は花屋

          花束を買った。 友人の結婚祝いに、何か贈り物しようと考えていた時、たまたま飲みに行ったお店に飾っている花が綺麗で「こんな感じ良いなあ」と思っていた。聞いてみると、その店、昼間の時間帯は花屋で、夜はバーをやっているらしい。 良いことを聞いたぞ! と思い、そのお店で花を買うことに決めた。ちなみにそこはドライフラワー専門店で、店の天井や壁面には綺麗なドライフラワー達が飾られている。 僕は今まで、両親や恋人などに花束を贈ったことはあるけれど、ドライフラワーを贈ったことはない。で

          氷、大事

          かちわり氷に慣れると、普通の氷に戻れない。 最近まで、家でハイボールや焼酎を飲む時に使う氷は、冷蔵庫で作る四角い氷だった。それが、今ではわざわざかちわり氷を買いに行って、冷凍庫に常時ストックしてある。 かちわり氷の何が良いって、溶けにくいことだ。テレビを見ながらダラダラと酒を飲んでいても溶けないから、いつまでも酒が美味しい。 たまに居酒屋でかちわり氷はではない普通の氷が出てきたらテンションが下がってしまう。かちわり氷が無いなら、氷を使わないワインにすることもある。それく

          いつものバーバーで

          「いつもので良いですか?」 「はい」 この言葉だけを交わして、あとは成されるがまま。余計な会話もほとんどない。 いつも行っているバーバーの話だ。 小学生から高校生まで野球をやっていたから、ずっと坊主だった。店に切りに行く必要はない。バリカンさえあれば、いつでもセルフで刈ることができる。あの頃は髪型を楽しめない分、微妙に長さを変えて楽しんでいた。 夏は五厘(バリカンにアタッチメントをつけない)、冬になるにつれて、3mm、6mmと長くしていた。見た目はほとんど変わらない

          いつものバーバーで

          神輿をかついでみる

          今日、自宅に帰ったら気絶するように寝てしまった。 今週は緊張感のある場面に立ち会うことが多く、気疲れしていたのだろう。 体力的にキツいよりも、精神的に疲れる方がダメージがデカい。気疲れは、後から気づくパターンばかりだからだ。 緊張感のある場面では、不思議と疲れを感じない。きっとアドレナリンが出ているからだろう。どんなに酒を飲んでも、夜遅くなっても、疲れを感じない。まあ全くノーダメージというわけでもないけど、通常時に比べるとダメージ量は体感で半分以下くらいだ。ただ、それは

          神輿をかついでみる