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2.26 春菊、恋し

   好きな野菜ほど、ダメにする直前にあわてて料理したりする。
   好きな野菜だから、それだけ買っているということだろう。しおれかけてるのを、グッと抱きとめ──という思い入れで、すまぬすまぬとあわてて調理する。
   この季節なら春菊がそれ。
   春菊が安いと嬉しくなって買ってしまう。後先も考えず。
   その日は食べる。葉物は一応買っておこうということはまずないだろう。根菜なんかより、ずっと鮮度が命だから。根菜、すまない。
   つぎはなににしよう。なんて考えているうちに、急な飲みの誘いや、稽古のあとの一杯、打ち上げ、と二、三日過ぎてしまう。すると葉物はすぐに、すねて、しおれてしまう。
   ひとり者の料理の心得は贅沢喰いである。
   そう言ったのは、なんてことはない、三遊亭 司わたしである。
   大事に大事に食べようとしたりすると、いい時を逸らしてしまう。多少多くなっても、ドカドカっと食べてしまったほうがいい。結句、そのほうが精神衛生上ずっといい。もっとも、捨てるということはまずない。捨てるぐらいなら、腹を下せ。は、家元、立川談志師匠。
   春菊の旬は、その名の通り春先まで。

春菊の焼きそば

《材料》

・春菊 多くていい
・豚ばら 100g
・焼きそば ひと玉

・醤油 大さじ1
・オイスターソース きもち

《行程》

春菊は三等分、5cmぐらい。
豚ばらも同じぐらいに切っておく。

分量外、多めの油で麺を焼く。
最近の焼きそば麺は、火を入れるとほどよくほぐれるらしい。企業努力。ほぐれなければ、酒少々ふりかける。
麺がきつね色に焼けたら、皿に取る。

豚ばらはかりかりによく焼く。
肉の脂と春菊の相性がいいので、断然豚ばら。
焼けたら、麺の皿に取る。

脂が出てればそのまま。
少ないようなら油を足して、春菊を軸の太いところから時間差で炒める。
さっと炒めたところに、麺と豚を戻してざっと炒め合わせて、調味料を入れてよく炒める。

ひと言。春菊がメインなので、にんにくや香味野菜は使わず。ソースの甘さより、キリッとした醤油で味付け。

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三遊亭 司
書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。