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寛容さを育むオランダの授業

今日も読んでくださり、ありがとうございます!

前回に続いて、オランダで私が印象に残っていることを記したいと思います。
よかったらお付き合いください。

自分を見つめ、相手を認める

私は2019年から約4年間、家族でオランダに住んでいました。

二人の小さな子どもを連れて引っ越し、三番目の子どもはオランダで出産しました。(ちなみに第一子は香港、第二子は日本、第三子はオランダと、私の出産はバラエティーに富んでいます 笑)

上二人は、インターナショナルスクールに通っていました。ある日、当時4歳だった次男のお迎えに教室に行った私は、「わあ!すてき〜!」と思わず声を出し、教室の後ろに飾られた、子どもたちの絵に見入ってしまいました。

そこには、子どもたちが”自分のできること、できないこと”について描いた絵が飾られていました。

次男は”僕は日本語で「こんにちは」と言えるけれど、地球を歩いて一周することはできない”と絵で表し、文字は先生が、英語で書いてくれていました。

                            上は日本の国旗、下は地球を描いています

他の作品を見ても、どれも子どもらしく、微笑ましいものばかり。

ただ私は、これらの作品を見て、可愛らしさだけではなく、そこにある先生の意図を感じ、深く感動しました。それは、”自己理解と、他者への寛容”

得意なことばかりではなく、苦手なことも、自由に表現していいんだよ。

そして、あなたの隣にいるお友達には、当然、あなたと全く違う個性があり、得意、不得意があるんだよ。

苦手なことがあっても大丈夫!補いあっていけばいいんだよ!というメッセージを感じたのです。

子どもたちが通っていた学校では、このように自分を見つめ、他者を認める取り組みが繰り返し行われていました。

文字よりも先に教えてくれたこと

まだ文字を書けない幼稚園生の次男の場合は、絵を描いて。

時には、自分の瞳を鏡で見ながら、片方の瞳のアップを描きます。すると、どんな子も全く違う瞳だということが分かります。黒、青、灰色、茶色・・・私と次男の瞳の色だって、同じ黒でも、その濃さや輝きは違います。そう、あなたと私は、違うのです。

またある時は、手のアップを描いていました。爪の形、皮膚の色、大きさ、みんな全く違うのです。

家族の大切なものは?

この取り組みは、年を重ねるごとに深まっていきました。ある日、当時小学校中学年だった長男から「ママ、うちの信条と、その象徴って何かな!?」と聞かれました。とっさに意味が理解できず、よく聞いてみると、”自分の家族が大切にしている信条と、その象徴を発表しよう”という授業があるそうなのです。

そうか!今度は自分の家族について知り、お友達の家族についても知る機会を頂いたのね!なんて素敵な授業なの!と感動しつつも、無宗教の我が家は、すぐに思い浮かぶ信条や象徴がなく、なんだろう!?と頭を悩ませました。

家族みんなで話し合い、たどり着いた答えは、本。

家族みんな本が好きであること。本から得られる知識や感動を大切にしていること。これらから、「本」という結論に至り、長男は、我が家の本棚の写真を撮り、一番好きな鳥の図鑑を持って行き、発表しました。

当日の様子を聞くと、ある子は、ご家庭の宗教について話し、またある子は、飼っているペットについて話したそうです。亡くなってしまったおじいちゃんについて話し、写真を見せてくれた子もいたそうです。運動が好きなご家族は、象徴としてスニーカーを持ってきたそうです。

大切にしている価値観を語り合い、受け取り合う授業風景を想像しただけで、その豊かさに胸が熱くなりました。

自分と他人は必ず違う。その違いに寛容であれ。
そして、自由に個性を表現していいんだよ。
苦手は補い合えばいいんだよ。

と繰り返し教えてくれた授業は、子どもたちのみならず、私の心にも深く響き、生き続けています。

今日も読んで下さり、ありがとうございました!

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