【発売】北近江の巨樹を見に行く 自然と歴史と祈りのものがたり
北近江の巨樹を見に行く 自然と歴史と祈りのものがたり
西 岳人
A5判 128ページ
ISBN978-4-88325-811-6 C0026
奥付の初版発行年月:2024年03月
書店発売日:2024年04月15日
価格:2000円+税
内容紹介
滋賀県北部の古社寺や集落などに立ち、信仰の対象や歴史の生き証人となってきた50本余りの巨樹をオールカラーで紹介し、ゆったりと時間が流れる世界へといざなう。
目次
■1章 湖西・長浜北部
01酒波・深清水のエドヒガン/02 阿志都弥神社のスダジイ/03白谷の夫婦椿/04日吉神社のタブノキ/05須賀神社のケヤキ/06応昌寺のウラジロガシ/07辻家住宅のイチョウ/08菅山寺のケヤキ/09全長寺のスギ/10菅並のケヤキ/11広峯神社のケヤキ/12黒田のアカガシ/13大音のシラカシ/14轡の森のイヌザクラ/15杉野のイチョウ
■2章 長浜中南部
16雨森の野神ケヤキ/17天川命神社のイチョウ/18柏原のケヤキ/19高月野神塚のムクノキ/20田中と御堂前のエノキ/21東雲寺のクロマツ/22竹生島のモチノキ/23南浜神社のイチョウ/24飯山のエノキ/25郷野天満宮のイチョウ/26小野寺神明神社のスギ/27勝山の大スギ/28さいかち浜と力丸のサイカチ/29栄船町のクスノキ
■3章 米原
30徳源院のシダレザクラ/31清滝のイブキ/32源氏山八幡宮の杉並木/33寝物語の里の伊吹/34福田寺の蓮如松/35吉槻のカツラ/36諏訪神社のイチョウ/37曲谷白山神社の乳イチョウ/38泉神社のシラカシ/39蓮華寺のスギ
■4章 彦根・湖東
40井伊神社のシダレザクラ/41清凉寺のタブノキ/42荒神山神社のオガタマノキ/43善敬寺のクロマツ/44慈眼寺の三本杉/45十二相神社のスギ/46向之倉のカツラ/47若宮池のスギ/48ひいらぎの森のカゴノキ/49阿自岐神社のスギ/50宝満寺のハナノキ
前書きなど
巨樹には人を魅了する不思議な力があります。存在そのものがエネルギーを感じさせます。天に向かって聳える巨樹を仰ぎ見ると、何とも言えない力が湧いてきます。木の肌にそっと手を添えると、ほのかな温かさとともに、木の鼓動が伝わってくるような気がします。神様とつながれるような心持ちにもなります。人は巨樹の前に立つと、そんな神聖な想いになるのです。
北近江にはたくさんの巨樹があります。それは暮らしの中に神様への畏怖、敬いといった想いが息づいてきたからだと言えます。この本で紹介する木は、多くが神社や寺院の境内に立っています。山のふもとや田んぼのあぜ道などに立っている場合も、木が人々の心の支えとなり暮らしを守る縁となってきました。
木は人々を災害から守ってくれます。それは火伏せの神様である愛宕さんの依代として、木を祀る例が代表的なものですが、実際に巨樹が土石流から集落を守ってくれたという話も聞きます。
木にまつわる話は、木がどのようにそこで生きてきたのかという物語の場合もあります。親鸞聖人や菅原道真公のお手植えといった話や、聖徳太子が箸を差したら木が芽生えたといった話など、さまざまな話が語り継がれてきました。
巨樹は人々の心の支えとなり、禍から暮らしを守ってくれる大きな存在なのです。そういう木であるからこそ、祈りの象徴としてしめ縄を張り、御幣を飾り、あるいは神饌を供えて連綿と祀られてきたのです。この本では、そんな巨樹を50本あまり紹介します。
社会の動きが加速化しつつある中で、巨樹と出会い、そばに佇むことで、ゆっくりと時の流れる世界が私たちの暮らしのすぐ近くにあるのだということを、この本を通して感じていたただければ幸いです。
著者プロフィール
西 岳人(ニシ ガクト)
長浜市生まれ在住。1989 年に地域情報誌『み~な びわ湖から』を有志で創刊。現在まで通算160 号近くを数える。中日新聞折込情報紙『さざなみ通信』に1998 年の創刊時から執筆。著書は『北近江の山歩き 花と琵琶湖と歴史に出会う』(2008年、サンライズ出版)。