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食本Vol.2『食の名言辞典』平野雅章・服部幸應他 編

☆世界の名だたる偉人たちが残した食の名言740
ひと口に食と言っても切り口によって全く異なるし、人によって思い描く内容は様々でしょう。
それを一冊の辞典にしてしまったというのがこの本。
しかも一つ一つの名言は名だたる哲学者、芸術家、経済学者、政治家、小説家、物理学者、時の将軍、詩人、作曲家。。。
時代も国もジャンルもオールフリー!
よくぞ集めました。740項目。
さらにまたそれを分類。

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サイズ感もまさに辞典です。

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厚さ5cmぐらいかな。机に置いて見ないと手首が疲れますw

☆よくぞ分類しました。7編41章。
目次をざっとご紹介します。
第一編 食と人生
1.人間と食 2.食欲 3.味覚 4.グルマン・食通 5.節度・飽食6.食の慎みと感謝 7.食と健康
第二編 食と社会
1.生産・労働 2.食と政治 3.食の戒律
第三編 食材
1.持ち味 2.旬の味 3加減.地域差 4.食材さまざま 5.調味料 6.パン・飯粥・そば 
第四編 料理
1.料理の道 2.料理人 3.素材を生かす 4.献立・趣向 5.塩梅・加減 6.土地柄・国柄 7.家庭の味 8.食べ手 9.調理具・食器
第五編 もてなし
1.会食 2.心配り 3.主人の心 4.客の心構え
第六編 茶類
1.茶の趣 2.いれ方 3.効用
第七編  酒
1.酒とは 2.酒の飲み方 3.愛酒 4.酒の楽しみ 5.酒の効用
6.酒のつきあい 7.禁酒・節酒 8.酒の戒め 9.酒いろいろ

ざっと見たところ、分類の仕方がちょっと日本的な感じがしなくもないですが、それは日本人がまとめているから仕方ないですよね。
それと、第一編食と人生、第七編酒の章が他の編の章より断然多いのも、やっぱり世界共通、人間は「考える葦」だったり、酒によって「しでかす」事が多いんでしょうかね。
※厳密にいうと第四編料理の章が一番多いんですけれど、これは編者を見れば当然なので。

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1ページ目はソクラテス。名言だけでなく、時代背景も紹介されているので+αの事を知ることができます。

☆食に対する人間の飽くなき探求・欲求と苦悩
この辞典で分類されていることが食というものを全て分類できた、とは思いません。
でも、パラパラパラ~っと眺めているだけでも、色々な妄想が広がります。
どんなに優秀な学者でも権力者でもステキな芸術家でも、食というお題の前では欲望をむき出しにしたり、シニカルになったり、苦悩したり。
時代が変わってもそれは常にあるし、キリがない。

ふと頭の中に思い浮かんだ妄想なのですが、

もしもこの辞典に登場した740人の偉人たちが全員集まって食についてトークセッションしたらどうなる!?
一堂に会さなくて良いので、毎日3人ずつぐらい登壇して(いやどこかのバーなんかでいいんですけども。今だとさしずめclubhouse?)食というお題で好き勝手に話してくれたら絶対おもしろそう。。。

☆人間とはその人の食べたものであるーフォイエルバッハ(ドイツ)
第一編 食と人生の中で私が気に入っている名言です。
フォイエルバッハは19世紀の唯物論哲学者です。
のちのマルクスやエンゲルスに影響を与えたとされる人物です。
私はこの名言がすっと腑に落ちた。
なんだかんだ言っても、結局日々「摂取」する食物が自身の身心を作っていくんです。
このnoteではなるべく私見を強く出さず、少し離れたところで様々な食本とその著者の「言い分」を見ていきたいと思っているのであまり主張をするつもりはないのですが、それでも、一人一人の身心は食物が作っているというのはオーバーな事ではない、ということは強く感じています。

☆様々な賢者から教わった「食」とは「食べる」とは?
今回の”旅”で教わった食とは?食べるとは?なのですが、
『食の名言辞典』はその名の通り辞典であり、編者が複数いらっしゃいます。そして、この辞典の中には740人の偉人たちの食に対する言葉が詰まっています。ですので一つには絞れない、というのが正直なところでした。
でも、敢えてひと言で締めさせていただくと
今回この辞典から感じた「食」「食べる」とは、

人間は食を通じて様々な事を感じ、考え、悩み続ける。

ということでした。

☆本日の食本
『食の名言辞典』平野雅章・田中靜一・服部幸應・森谷尅久編
(東京書籍)

☆おまけ。今日のわたしはわんたん麺でできている。
今日のおひるごはんは久しぶりの外食で町中華。わんたん麺。
ぺら~んとした皮に少量の肉を包んだわんたんと醤油ベースのスープ。町中華のお店に行くと必ず頼んでしまう。なぜでしょうか。ペラペラな皮のわんたんとぺらぺらな私にはきっと共通点があるにちがいない。


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