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モノづくり思った事、考えた事。

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サニーサイドスタジオとしてモノづくりをする中で考えたコトや、頭の中のコトを書いています。
運営しているクリエイター

#アイアン家具

「気がつけば夕方」という幸せな時間

モノづくりをしていると、ふとした瞬間にまわりの音が消え、時間が止まったような錯覚に陥ることがあります。 そんな一つの対象に「没頭する」という感覚が好きなのですが、自分で没頭できる瞬間を追い求めても、なかなか訪れることはありません。 突然なんの前触れもなくやって来て、気がついた時にはもう過ぎ去ってしまっています。 僕は子供の頃、工作が好きで、ご飯を食べるのも忘れて没頭していました。 ともだちと遊んでいるよりも、アニメを見るよりも何かを作っている時が最も時間を忘れて没頭する

看板製作で大切にしていること

●美しい物があれば人は足を止めるものだと思う。 物でも風景でもつい足を止めて見入ってしまうことがあります。 雲の切れ間に沈む夕日、雨に濡れた紫陽花。綺麗な色の絵画。上質な革製の鞄。 僕は色んな物に足を止めてしまうので、怪しいと言われることもしばしばですが、人は無意識のうちに美しい物に惹かれるものかなと思います。 派手さや大きさは無理やりに感情をこじ開け飛び込んできますが、美しいものにはスッと心の中に入ってくるような切れ味があります。 ●街中の看板がちょっとしんどい

モノづくりの「能力の輪」とキャパシティ

ある著名な投資家が、「能力の輪」という表現をしていて、「人間は自分の能力の内側にあるものはよく理解できる。だが輪の外のものは理解できないか、ほんの一部しか理解できない。」と語っていました。 これは自分の得意な能力を理解し、その輪の中からはみ出さずに戦うことで、人の何倍もの結果をより早く得られるということだそうです。 無理矢理まとめると「長所を伸ばし、短所には目をつぶる」ということでしょうか。 不得意なものを一生懸命伸ばすよりも、自分が得意で没頭できる分野に特化するという

モノを「買う」以外にも、「作る」という選択肢があると知って欲しい。〜作り手との距離感と、溶接ワークショップのこと〜

モノづくりという仕事をしていると、製品を通じてお客さんと接することが殆どです。 でも間に製品を挟んでいる分、お客さんの間に距離ができてしまう事があります。 製造業をしている限り仕方の無い事なのですが、もっとお客さんにはモノづくりをする工房を身近に感じて貰いたいと思っています。 で、この距離をもっと縮めるにはどうしたら良いのか考えていました。 どんな道具や機械を使い、どのように製作しているのか。またどんな人が何を考えてモノづくりをしているのか。 これは完成したモノをただ並べ

世代を超えて残るモノってなんだろう〜祖母の農具を眺めながら考えた事〜

先日、自宅の引っ越しをしました。 普段動かさないような家具も綺麗に拭き上げて、トラックに乗せていく。 10年程前に買った某大手メーカーの家具は、新婚時代に揃えた物。 若くお金も無い中、妻と色々と話し合って決めた家具達ですが、さすがに随所に痛みや劣化が見られました。 最近ではキズの他に、娘が描いた可愛い落書きも増え、時間の流れを感じます。 モノを作る際に、大切にしている事今、僕はサニーサイドスタジオというオーダーメイドのアイアン工房を営んでいます。 お客様とお話しをして、出

オーダーメイドはモノづくりに参加するという事だと思う。

サニーサイドスタジオでは長い時間打ち合わせをして、沢山の要望を聞き、色々なお話をして一つの物を作ります。 ワンクリックでモノが買える時代に、わざわざオーダーメイドという手間をかける。そこにどんな意味があるのか考えてみました。 お客様は自分だけの一品が欲しい方や、人に自慢できるものが良いという方、また既製品ではしっくり来るものがないといった方まで様々な要望を持っています。 その中で共通するのは「モノづくりに参加する」という意識を持って頂いていると言う点です。 ある日お客