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「カマキリ」と豊かな生活

私は昆虫の中でカマキリが一番好きだ。カマキリのフォルムは頭・首・腕(カマ)・胴体・足と、はっきりと分かれており、しぐさも、どことなく人間臭いからだ。そして北海道にはいない昆虫というレア感もいい。つい何年か前までは毎年カマキリの卵嚢(らんのう)を九州のペットショップから取り寄せ、ふ化させ、餌を与え、脱皮させ、成虫まで育て、交尾させ、産卵までさせていた。これがとても面白い。ただ、カマキリは生きている餌(正確には動いている虫)しか食べないので、置き餌ができない。これが大変だ。夏は夜な夜な虫網を持って近くの電灯付近まで行き、餌を採ってくる。夜におじさんが虫網を振り回しているので、お巡りさんに「なにか採れましたか~」と、ほぼ職務に近い質問をされたこともある・・・。カマキリを飼っている夏は、完全にカマキリ様に支配される夏になる。秋口には小さな虫が取れなくなってしまうので、その時期に入ると、鰹節を牛乳に浸し、小虫大の大きさに丸め、ピンセットで餌をカマキリの頭の前で揺らすと食べてくれる。なんとも可愛らしい。誰もが知っているカマキリの習性と言えばメスとの交尾後、オスが哀れにも食べられてしまうことだろう。その理由は諸説あるが、未だ科学的な証明がなされていない。カマキリは動いているもの=餌と認知するため、交尾の最中、必死に動くオスを餌と間違え、食べてしまうというのが有力な説。最近読んだ本で、生物学的にオスの役目は「受精させた瞬間に終わる。」と書いてあった。人間はもう少し複雑だと思うが、根本は変わらない。役目を終えた一オス(男)は、子どもの成長を見守る以外に別の目的・目標をもった方が、豊かな生活を送ることができるのかもしれない。人間は強欲だ。

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