【突然交通事故にあった長男の闘病日記】11月17日(木) 238日目:番外偏#4
長男の仕事のシフトは昨日と同じだった。
しかし6時半頃に
「上司から9時のクロージングまでいてほしい、って言われた」
と電話をしてきた。
既に上司には延長できると言っていたようだ。
夫にそのことを伝えると
「仕事の後にいつも”疲れた”と言って愚痴っているのに、なぜ延長を承諾したんだ?」
と文句を言っている。
「Noと言えない日本人だな」
夫の口癖が始まった。
Noと言えないのではなく、日本人はアメリカ人と違って協調性があって人の心を読むってことができるのよ!
と反論したかったが、やめた。
ま、明日は長男の仕事は休みの日なので大丈夫だろう。
番外編#3からの続き
新学年から私は学校に戻れた。
戻れたのはいいが、私はA先生のターゲットになった。
A先生は私とは違うC型肝炎に感染していたらしい。
A先生の授業になると
「わさび、君はB型肝炎だったらしいな。
肝炎には”しじみ”がいいぞ。
しじみ汁とか飲むといい」
高専の先生は一般的に変わり者の先生が多い。
A先生もそれにもれずの変わり者だった。
彼の授業になると必ず”肝炎”の話題が出るようになった。
私はいいが、他のクラスメイトには申し訳ない気もしていた。
というか、恥ずかしかった。
急性B型肝炎と診断された私は、医師から半年に一度の定期健診をするようにと言われた。
その後、社会人になると一年に一度の定期健診に変わった。
私のB型肝炎は生活する上で支障のないものになっていた。
長男出産時には出産後すぐに長男にB型肝炎のワクチン接種をするようにと言われていた。
産道を通ってくる際に子供に感染する可能性があるらしい。
長男は出産後、生後数か月後、と計3回のB型肝炎のワクチン接種を受けさせられた。
その数年後、私は当時の夫と離婚をし長男と一緒に地元に戻った。
またその数年後、今の夫と出会い長男と一緒にアメリカに移住することになた。
移住にあたり、移民ビザを取る必要があったのだが、ビザ取得時に必要な健康診断を一番恐れていた。
B型肝炎に感染している私は健康診断の結果次第でこの移民ビザ取得が却下されるかもしれない、ということに。
当時、HIV感染者には移民ビザが下りないという噂を聞いていたので、同じような感染経路をもつB型肝炎の私はそれを心配していた。
幸いなことに移民ビザは取得できた。
しかしアメリカ入国時にその移民ビザを受け入れるかどうかは空港にある移民局の判断次第らしい。
大きな移民ビザの封筒を持って2002年、私は長男と共に先にアメリカで待っている夫の元へと旅立った。
番外編#5へ続く