出汁を引く、という行為
時々、日本人の料理への直向きな情熱に驚かされることがあります。
その一つが、「出汁」です。
わたしたちは、昆布、鰹を筆頭に、貝類や肉も出汁を取るのに使いますね。技術の発展に伴って、うま味調味料や簡易だしなるものでそのハードルは低くなり、我々の日々の生活に根付いています。
今でこそ身近なものですが、本格的な出汁を引くとなると、その手間はなかなかのものです。鰹なんてカッチカチになるまで干してそれを削って煮てようやく出汁なわけですから。
この出汁という文化が受け継がれてきたのは、かかる手間以上に得られる幸福感や、味覚の満足があったからでしょう。
現代でも手軽な形でその幸せを享受できることに感謝して今晩もご飯といたしましょう。
ちなみに池田菊苗さんによって発見された旨味成分のグルタミン酸ナトリウムは、日本の十大発明の一つとされているそうです。